主人公には特別な能力がある。懇願されて、やむを得ず能力を使う。しかしそれを望んだ人が、能力の故に主人公を激しく憎悪する。

特別な力を持つことと、その悲しみを全智賢が好演している。実年齢より十才以上老けた役で、落ち着いた演技が要求される。はじけるようにしなやかな全智賢を期待するとはずれだが、演技の幅を持つ全智賢を見ることになる。

悲しく恐ろしい出来事の描写や、不気味な子供たちの出現など幻想的で美しい。俺はこの映画の静けさが好きだ。なにせ、全智賢全肯定のマニアだから。

ソウル郊外の高層団地群。

映像を見ていて、デジャビュにおそわれる。高島平、多摩ニュータウン、八潮の団地群。くらくらと目眩がしたまま、映画に引き込まれた。
四人の食卓1
俺の大好きな全智賢が、暗い、精神を病む主婦の役で出てくる。作品の中の天気も悪かったり、夜の場面も続き、白く美しい智賢の顔をなかなか見ることが出来ない。

映画として見て損はない。全智賢が好きな人はもちろん、映像美に浸りたい高踏趣味のスノッブにおすすめ。ソウル郊外の団地群の荒涼たる風景が恐ろしいと感じられる人に勧める。