3回ユーロスペースで見た。

3回目が一番面白かった。爆笑しながら涙を流すというエモーショナルなことになってしまった。

語り口の妙がある。

「パルプフィクション」やニコール キッドマンの「誘う女」のように巧妙な時系列の入れ替えがあって、それこそが哄笑を誘う仕掛けになっている。

さらにガイ リッチーの「Lock,Stock & Tow Smoking Barreles」のようなスラップ スティックの要素もあり、見ていて笑ってしまうのだ。

登場人物一人一人のバックグラウンドが手際よく描かれ、それぞれの突飛とも思える行動の理由になっている。それぞれの行動の必然が絡み合って、フィナーレに向けてひたすら走り続けていく。

終わりの頃になると自分もすっかり登場人物たちと同じ気持ちになって、なんとか最後まで頑張ろう、なんて考えてしまう。そして「カット!」の声がかかるとホッとして、大きな達成感が得られるのだ。

このカタルシスがたまらなくて3回も見てしまった。

映画を見ると言うより、体験型イベントに参加しているようだ。だから何度も体験したくなる。スペースマウンテンのカーブを記憶するほど乗ってしまうようなものなのだ。

今までこんな映画はなかった。とにかく今、この熱狂の中に乗って行くのが楽しい。

「カメラを止めるな!」を止めるな!!

どこまで止まらないか、楽しみに見ていこう。

来週、また見に行こう。もはや中毒。

皆さんも今のうち、アツアツのうちに見てください。よろしくで〜す♥️
「メアリー ポピンズ」の原作者と、ディズニー映画「メアリー ポピンズ」の話。

イギリスに住む、頑なに映画化を拒む原作者、トラヴァース夫人。

この人の性格が面白い。俗悪なものを嫌い、皮肉屋で、排他的。高慢で自己中心。とにかく嫌な女だ。こういう頑迷な女性はときどき見かけるが、決して一緒に仕事をしたくない。

しかし、ウォルト(もちろんディズニーのことだ)は、この女性の「メアリー ポピンズ」に魅了されている。何としても、映画にしたい。しかも、ミュージカル映画に。

トラヴァース夫人の嫌いなものリストのトップ10には、梨と赤いもの、酒と並んで、漫画(アニメ、カトゥーン)、ミュージカルが入っているだろう。

これはうまくいく訳がない。そうやって18年が過ぎ去った。

しかし、我々の目の前に、ウォルトが作った「メアリー ポピンズ」の映画がある。この映画がどのように作られていったか、原作者がこの作品に込めたものは何だったのか、サスペンスが生まれる。

原作者のトラヴァース夫人が、納得いくように、一字一句、脚本を読み合わせ、登場人物のキャラクタ設定を検討し、音楽、歌詞を直していく。その経過をすべて録音テープに残すように夫人は言う。そしてその通りにするスタッフ。素晴らしい結末も作り上げ、みんな満足、と思ったその時、大きな問題が起こる。今までの努力はすべて水の泡。

さあ、ウォルトはどうやって夫人を説得し、映画化に漕ぎつけたのか。

「メアリー ポピンズ」は素晴らしい映画だ。ジュリー・アンドリュースの英国アクセントが気持ちいい。音楽もダンスも最高だ。それらの一つ一つを作っていく過程を見ているだけで胸がいっぱいになる。

そして、バンクス氏。一家の主、お父さんが、銀行で働いていること、2ペンスをめぐるエピソード、最後に破れた帽子をかぶったまま、凧を上げる、喜びにあふれた姿・・・。

それらすべての意味を明瞭に悟ったとき、トラヴァース夫人も、俺も涙を抑えることができない。

アルコールに侵された父親と、家族の姿。いつの時代にも同じことが繰り返される。アルコールは依存性の強い危険な毒物だ。安易に、酒ぐらい、というべきではない。酒は飲むべきでない。

酒を飲んでだらしなく無様な姿をさらした翌日、平然と現れ、昨夜のことは全く覚えていない、という馬鹿が俺の周りにも何人かいる。俺は酒を一切飲まないから、そいつらの醜態をはっきり記憶しておく。何と言われようが、二度と同じ宴席には行かない。

しかし、そのアルコール依存の父親がいたから、「メアリー ポピンズ」が生まれ、ミュージカル映画が生まれ、この「約束」(日本語のタイトルは馬鹿みたいだ)が生まれたわけなので、いいこともあったとしておこう。人間の行いの善悪など誰が諮りうるだろうか。

嫌な人間は最後まで嫌な人間だが、愛すべき嫌な人間もいることを学んだ。

他人にこの映画を勧めたくて、とにかく書き留めておく。

まったく観客動員が無いんだって。いわゆる大コケらしい。

痛快だ。

そこらにウジョウジョ歩いている田舎モンのガキンチョたちにまったくヒットしないということだ。

俺の見に行った映画館は、小さめの客席だったが結構たくさん入っていた。割と年配の夫婦みたいのが多かった。高田文夫先生が大絶賛の西村賢太の読者とかぶっている感じがする。森山未来も前田敦子にも興味なさそうな人たちが多かったのだ。

その人たちは満足して映画を見たはずだ。

それでいい。

それでいいから、見る人だけ見て、早いところ打ち切ってくれ。
シモキタがどうたら言う不思議ちゃんサブカル馬鹿女をやっつける北町貫多が最高だった。拍手したくなったぜ。そうこなくちゃ。

中卒の日雇い労務者、北町貫多の鬱屈した日常を森山未来が好演している。どこかのインタビューで見たが、森山未来は、ちっとも北町貫多に共感していない。むしろ憐憫を感じる、と言っているそうだ。それを聞いた原作者の西村賢太がよろこんだそうだ。いい話だ。

いい歳をした日雇い労務者のオッサンが若造の北町貫多たちに説教する場面がある。おい、おまえら夢を持てよ!という。マキタスポーツが本人そのままのキャラで出演していて、台詞の一つ一つに笑ってしまった。俺は、歌がうまいんだ、というたびにおかしくて・・・。マキタスポーツ、最高!!

前田敦子って、顔がダウンタウンの浜ちゃんそっくりだね。どんぐりまなこ、口の感じ、角ばった顎の形など・・・。

でも、顔じゃなくて、あの頼りなげな儚げな感じがガキンチョの心を捕えて離さないのだろう。守ってあげなくちゃ、過呼吸で倒れちゃう・・・・、あっちゃん!!というわけだ。泥まみれの熱演?をしていた。がんばったね。

山下敦弘監督って、駄作「リンダリンダリンダ」を撮りやがった糞野郎だが、今回の「苦役列車」は良かった。・・・と思う。俺は、きっとひどい作品だろうと先入観を持って行ったら、最後までびしっと決まっていた。大ヒットはしないだろう。でも俺はこの映画が好きだ。

主人公、北町貫多の粘着体質の鬱陶しさにリアリティがあった。破滅していくしかないと見せて、最低の状況でかすかではあるが強烈な向上心が形を成していくところの見せ方が秀逸だった。




在日ファンク。すばらしい!俺は在日クラシックだけどね!!
日本にいてウィーンだ、ザルツブルクだ、ライプツィヒだとか言っている。
「爆弾こわい」というアルバム。
「最北端」とか「はやりやまい」「むくみ」「毛モーション」「才能あるね!」など、みんな面白いが、俺は特に「城」が好き。
音楽にペーソスがある。歌詞がいい。
爆弾こわい/Pヴァイン・レコード

¥2,625
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朝からずっと聞いていたのが、ショスタコーヴィッチ。いいね!!
自作の「祝典序曲」のパロディみたいな曲も入っている。なぜか、血沸き肉踊る。
ピアノコンチェルトも傑作だね。プーランクのパロディみたいなのも入っている。
意外に複雑。
ショスタコーヴィッチが軽い曲を書いたつもりでも、天才の手にかかると完全なオリジナリティが刻印されている。あなどれない。
ショスタコーヴィチ:ジャズ音楽集/ユニバーサル ミュージック クラシック

¥1,600
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テンシュテットのマーラーは素晴らしい。そういえば、朝、ずっと聞いたのはマーラーの7番だった。夜の歌。冒頭のテナーホルンの響きが切ない。一楽章の再現部で、同じフレーズが低音弦に現れて、対位的にトロンボーンのソロが嫋々と歌うところが特に良かった。テンシュテットの演奏で初めてこの場面の構成がくっきり聞き取れた。
続く楽章でギターやマンドリンがちまちま出てくるあたりも風情があって聞きほれた。
夜曲、セレナーデだ。蘇州夜曲もいいね!!

今聞いているのは9番。一楽章に轟音が三箇所ほどあるが、Carot Oneでなんとか歪まずに聞いている。ヘッドフォンをもっといいのにしたい。

Complete Mahler Recordings/EMI Classics

¥4,727
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これも古楽ピッチ。素直、というか純粋っぽくていい。聞き惚れてしまう。
ラ・プティット・バンドのT君は俺の後輩だ。いまや日本でもオランダでも、もちろん世界でも有名なヴァイオリニストになった。高校時代のT君の姿が懐かしい。風貌も変わらない。
何年か前、会ったとき、俺のことを覚えていてくれた。光栄なことだ。
クレドから改めて聞き直し、バッハの凄さを今更ながら感服している。

バッハ:ミサ曲ロ短調(全曲)/BMG JAPAN

¥5,250
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テンシュテットのマーラー。いわゆる千人の交響曲。
冒頭のオルガンの音、「Veni, creator spiritus,」の歌声、金管楽器のアンサンブル・・。
オーケストラの楽しみが詰まっている。引き締まった演奏でいいな。

Complete Mahler Recordings/EMI Classics

¥4,727
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バッハ ロ短調ミサ。

なんだかんだで5種類のCDを持っているが、今日はアーノンクール。ジュリーニの演奏と比べると、半音ぐらいピッチが低い。いわゆる古楽ピッチ。アゴーギクが効いた心弾む演奏。これが好きなんだ。

J.S.バッハ:ミサ曲 ロ短調 BWV232/ワーナーミュージック・ジャパン

¥3,000
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マタイ受難曲。ガーディナーのもの。

合唱大国イギリスの底力を感じる好演。ピッチは古楽ピッチ。テンポもきびきび進む。聞くのがやめられなくなる演奏。大好き。

バッハ:マタイ受難曲/ユニバーサル ミュージック クラシック

¥5,100
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まず、電源を入れる。青く光る真空管に胸がときめく。
最近の電気製品でこんな感情を抱いた製品は他にない。
【Carot One】 Fabriziolo ヘッドフォンアンプ

¥27,800
楽天

思ったより小ぶりで精緻にできている。仕上げが素晴らしい。
さすがにカンパニョロの国だ。職人技を感じる。

色がまたいい。粋なにんじん色だ。愛着を感じる。

真空管が温まるまでのほんの数秒(?)ジャーっという音がして、そのあとサッと静まり返る。
なんともいえない真空管風味。
昔、真空管キットのラジオを持っていたが、そのラジオの立ち上がりを思い出した。

澄み切った静けさ。

おもむろにiPodのデジタルドックからアナログに変換して入力してみる。
比較は、iBassoのポータブルヘッドフォンアンプ、A02.

iBasso ポータブルヘッドホンアンプ A02

¥16,980
楽天

音の広がり方がまったく違うね。ポータブルのものは外出先で使うからいいけど、家でCarot Oneと比較したら、違いがはっきりわかる。。iBasso 02は、相当よくできているが、デジタルアンプの音を帯域ごとにくり抜いたような感じに違和感がある。にごった感じ、詰まった感じがする。

Carot Oneの自然な音の伸びにかなわない。音が澄んでいる感じ。

当たり前か。値段が違うしね。

とにかく、いい買い物をして俺はうれしい。大満足。

今度はシュアーのSH940を買うことにしよう。
AKGのK550も気になっている。どっちにしようかな?

SHURE リファレンス・スタジオ・ヘッドホン SRH940/SHURE

¥19,800
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AKG ダイナミック密閉型ヘッドホン K550/AKG

\24,800
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ペーター・ダムの仕業だ。

俺が指揮者だったころ、演奏会が終わった翌日に、糞生意気な幼稚園児から「おまえだろう、指揮してたのは」と言われて大笑いしたことがある。お公家さんのような白くて可愛い男の子だった。前の日の演奏を聞いていたのだ。今はどこかでサラリーマンにでもなっているのだろう。

それはともかく、この「魔弾の射手」。

ホルンが狂ったような轟音を鳴らしている。血沸き肉踊る響きだ。こんな面白い演奏は無い。

カルロス・クライバーという人がやっぱりどこか狂ったところがあって、冒頭の序曲の入りからしてやらかしている。クレッシェンド、面白すぎ。

ワイルドだろ~アップ

序曲でたっぷりペーター・ダムとその仲間たちのホルンが聴ける。ビブラートをかけた同質の演奏法でよくそろっている。楽器はメーニヒだっけ?ドレスデンの弦楽器の音がまたいい。

風流だぜ~アップ

グンドラ・ヤノヴィッツ、テオ・アダム、ペーター・シュライアー、エディット・マティスと、旧東ドイツのスター総出演。懐かしい。

ウェーバー:魔弾の射手 全曲/ライプツィヒ放送合唱団

¥4,077
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とにかくホルンがティルシャルすぎてすごい。

いい音オケのチェコフィルの能力全開の演奏だ。

全体に近接音で録音されていて、特に金管楽器のブレスがはっきり聞こえる。コラール部の一斉に息を吸う音には、はっとさせられる。このような息遣いが聞こえる演奏こそが聞く価値のある演奏だ。

マタチッチもよくうなっている。

この曲はなんだかもやもやした意味不明の前奏があって、今ひとつ印象が薄かった。第4楽章でも跳躍のあるひょうきんな主部が始まってからしか印象がなかった。今回聞いてみて、これはMozartのレクイエムのなかのレコルダーレじゃないか、と思った。

アーノンクールの考察を読んで、ブルックナーのこの曲についてレクイエムを引用していることを知った。そう思って聞くと面白い場面がいっぱいある。それにしても、ブルックナーが憧れてやまないMozartとはなんと芸風の違うことか!

ひたすら巨大で崇高な「感じ」を突き詰める愚直なブルックナーと、死者のための音楽を書いても透明で儚い風情を漂わせるモーツァルトとはずいぶん方向が違うような。

ブルックナー:交響曲第5番/マタチッチ(ロヴロ・フォン)

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