初っ端から蟹と屍にビックリしたけど、その後のスライドインは正直ズッコケそうになった。

スライドインが使われていたのは冒頭数か所のみで、城の扉をぶち破る柱の動きに合わせた演出かなと思ったけど、そうじゃない場面もあったし、何だったんだアレ。

 

戦国時代なだけあって、武士にしろ農民にしろ劇中ガンガン首を刎ねられ殺される。ただ死が至極当然のものだったと言わんばかりに、ドラマ性もへったくれもなくあっさり死んでいくので「うへぇ」と思う隙もない。むしろ描写的には荒木村重の刀まんじゅうが一番キツかった位。

また衆道や男色といった男同士の恋愛描写についても、当時はそれが普通だったという感じの描写で、そこに愛憎関係以外の余計なメッセージは一切ない。

「アウトレイジ」シリーズのような権謀術数とは異なり、己の本能や欲望に従って動く武将の姿も相まって、これら描写の無駄のないドライさにゾクゾクした。

 

合戦の場面はどれも迫力と緊迫感があって見ごたえあるが、時々挟まるコントみたいな、というよりほぼコントな場面のユルさとの温度差も凄まじい。 清水宗次の切腹場面は不謹慎過ぎて笑ったし、羽柴秀長が他の武将と話し合っている所を盗み聞きして爆笑する場面は、テレビのバラエティ番組でVTR見て笑ってるような雰囲気だったし。

下手したら映画全体のバランスをぶっ壊しかねない程のコントをねじ込んでも、それ自体が物騒ながら面白い事に加えて、百姓と武士の違いが基となったネタのためか、すんなり受け入れられてしまったのが不思議な所。