劇中とある形で映画「ゴッドファーザー」が出てくるけど、あそこで「ダークナイト」か「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の名前を出されてたら、多分俺は立ち直れなかったかもしれない。あといずれこのポジションに「バービー」が入りそう。
「バービーはオモチャである」事を大前提としたバービーランドの作り込みがとんでもなくて面白い。建物や車などのモノが全てオモチャっぽいのは勿論、シャワーから一切水が出なかったり、冷蔵庫の中身がただの絵だったりと細かい所まで徹底してオモチャしてるお陰で、おままごと感が良く出てる。
また男性主権で抑圧的な現実世界に比べ、一見バービーランドの方が自由な理想郷っぽい雰囲気がある。
しかしよく見たら一風変わったバービーやバービー以外のキャラは除け者扱いされてるし、各々役目が決まっている分、役目のないバービーが居場所を見つけにくく、実際息苦しさに関してはどっちもどっちな点は、上手い事バランスを取ってるなという印象。
正直バービーとケンの対立は何故か肩身の狭さと小恥ずかしさを感じる箇所があったけど、そんな様々な対立を経て自身の存在意義にまで踏み込んでいく展開は結構ビックリしたし、よくバービーというオモチャからここまで話を飛躍させたなと思う。
ただこの哲学的飛躍は正直わかりにくい所があり、「果たして今バービー人形で遊んでいる子供がこの映画を観ても楽しめるのか?」という疑問が残った。
あと強力なメッセージ性に対してコメディ要素や演出がそんなでもないので、何か全体的には説教臭さが強いなぁという印象。