「お客様は神様です」という(客側の)考えはグローバル・スタンダードなのか。

 

一世一代の気合入りまくった天才シェフ・スローヴィグのきまぐれコースは、最後の最後まで不穏過ぎてワクワク。そして出てくる料理の殆どが斬新過ぎて全くお腹が減らない。不思議。

 

確かに特権階級のカスっぷりを目一杯皮肉った内容ではあるものの、個人的にはスローヴィグの悲劇とその末路の方が印象的。

本人が所々で語るエピソードやマーゴが途中で発見するアレコレを踏まえると、一概に狂人とは言い切れず同情すら覚えてしまう。とはいえこいつ自身もやらかしている所があるけど。

 

反面スローヴィグに仕える従順なシェフたちが没個性気味だったり、主役のマーゴとタイラーを除くゲストの面々はスローヴィグの憎しみや怨みを表した存在でしかなく、キャラクターとして個性や特徴があまり感じられなかった。ただその情報のなさがかえって不気味な寓話感を引き出しているので、これはこれでOK。

そんな中タイラーの妄信的過ぎる狂人っぷりが最高。あの蘊蓄しか能がない薄っぺらさがたまらん。