今話題となっている活動として、「涙活」があります。
前回、大阪高校での生徒向け涙活講座をまとめましたが、
今回は、世田谷区立八幡山小学校でのPTA、約50人に向けて行った涙活講座をまとめました。
※PTAとは、父母と先生の会。家庭と学校とが協力し合って教育効果をあげようとする、学校単位に結成された教育組織。
※涙活とは、意識的に涙を流す(2~3分間で十分だとされています)ことによって心をリラックスさせる活動。
なみだ先生こと感涙療法士の吉田英史先生は、学校で生徒に向けてのもの以外にも、親御さんに向けても涙活講座を行っている。
今回の対象は八幡山小学校に児童を通わせている保護者。
昨年、近くにある世田谷区立九品仏小学校のPTAに向けて行われた涙活講座の評判を聞き、今回、吉田先生にオファーを。
(世田谷区HP)
最初に、吉田先生からの挨拶。
まずは、親御さんの子育てによるストレス状況のお話。
そのあとに、パワポを使って自己紹介と普段の活動紹介へ。
まずは、なぜ、涙活という活動を始めたのかのお話から。
なみだ先生のキャラクターの始まりは、学校での涙活講座を実施したことがきっかけだそうです。
最近は、企業にも呼ばれることが多いのだそう。その要因には、3年前にメンタルヘルスケア対策の一環として始まったストレスチェックが引き金になっているという。
吉田先生が出張涙活をする場所は、教育、保健医療、福祉の現場とフィールドの幅は広く、
学校では、生徒だけでなく、先生や、今回のような保護者に向けて行ったり、
病院では、患者さんだけでなく、職員、特に看護師に向けてやることが増えているそう。
ケアする仕事をする側がストレスをためているという現状があるそうです。
その他、福祉施設、地域の公民館、図書館、市役所等で自治体職員に向けても実施することが多くなってきたそうです。
詳しくはこちら。
泣かす手段は様々。今回は、映像と吉田先生の手紙文を題材に。
涙活講座の最後は、毎回、皆さんで輪になって語る会、涙友タイム。
スライドだけでなく、現場の様子を映像でもご紹介。
それでは、いよいよ、皆さんに涙活体験を。
最初は、泣ける感動映像を見てもらいます。
対象が親御さんということで、親子の愛情をテーマにした映像が次々に流されます。
一人が泣き出すと、連鎖反応を起こすかのように、皆さん、泣き出します。
この現象を吉田先生は、「もらい涙、誘い涙」現象と呼んでいます。
次に、泣ける話を創作するワークショップ「涙作文」へ。
お題は、「亡き○○への感謝の手紙」。
皆さん、一心不乱に書き出します。
書きながら思わず涙を流すお母さんも。
読み上げている最中にも思わず…。
最後は、吉田先生が手紙文を読みます。
タイトルは「亡き叔母への感謝の手紙」。
次に、泣き言セラピーというワークショップへ。
涙の形をした水色の紙、通称「涙レター」に、匿名で泣き言(弱音や愚痴、不満など)を書き出してもらい、
お賽銭箱のような箱、通称「涙千箱」に、入れてもらいます。
吉田先生がいくつかピックアップして読み上げていきます。
子育てに奮闘しているお母さんたちの泣き言が次から次に出てきます。
泣き言を読み上げることで、同じ苦労をしていることを皆さんで共有します。
「子育てで大変な思いをしているのは私だけじゃないんだ」と知ることで、前向き効果が生まれのだそう。
吉田先生が泣き言にアドバイスを送る中で、涙の効用についてのレクチャーの時間に。
(レクチャーの内容 世田谷区HPより)
最後は、涙活体験の感想を語る会(涙友タイム)へ。
4,5人のグループを作ってもらい、涙活体験での気づきをお互いに話してもらいます。
吉田先生が各グループに入って、皆さんの感じたことを共有してもらいます。
質疑応答と閉会の挨拶へ。
泣くことの大切さ、子育てにおける“泣き”の重要性を、吉田先生は次のように話します。
吉田先生の言葉をそのまま引用します。
この泣くということが、実は子育てにおいてもすごく大事な意味をもっているんですね。皆さんの中には泣くとすっきりするとか、楽になるという体験をお持ちの方もいらっしゃると思います。
でもそういう人だったとしても、赤ちゃんが泣いているとどうでしょう。子どもが泣いているとどうでしょうか。多くの方は、「はいはいはい、もう大丈夫。もう泣かなくてもいいよ」って泣き止んでほしいと思うんですね。そして言葉にしなくても、とんとんとん、ゆらゆらって赤ちゃんを抱っこしながら、「さあ、泣き止もう」とメッセージを伝えていきます。
考えてみると子供たちって生まれてからずっと、泣かないようにとメッセージばかり受けているんですね。
そうすると当然、泣くことはいけないことなんだなと思います。泣くことはいけないことなんだ、泣きたい気持ちは感じてはいけないんだ。そうすると感じてはいけない気持ちがあるんだと思い違いをしていきます。
泣くというのは大事な自己表現の一つなのに、その自己表現をいつもいつも止められていると、自分のこの感じたものをそのままありのままに表現することはいけないことなんだと思い違いにもつながっていくことにもなります。
泣かさないようにという子育ては、ありのままの自分を感じて、その自分をそのまま表現するということがいけないことなんだと思い違いをするような子育てになってしまっているんですね。
泣いてはいけないというメッセージは、「泣いているあなたはだめだ」というメッセージが伝わってしまうおそれがありますが、「泣いてもいいんだよ」というのは、あなたが笑っていなくても喜んでなくても、泣いてたって、どんなあなただってかわいいんだよ、大事だよ、大切だよってその子をまるごと受け止めていくメッセージで伝えていけるんですが、今の子育ての多くは泣かさないようにということから、子どもたちはいろんな苦しさを抱えてこんでしまいます。そしてその苦しさを抱えたまま大人になっていくために、私たちの生を感じることや表現することがうまくいかなくなって、人間関係がうまくいかなくなったり、心の病気になってしまったりということが起きてしまいます。
ですから、子どもにとっても、大人にとっても、泣くってことがとっても大事なことなんですね。そのことが皆さんにぜひ伝わればいいなと思っています。
<おまけ>
この日は、テレビ朝日『激レアさんを連れてきた』というテレビ番組と、『モノクル』という世界60か国に発行している海外の雑誌が、取材に入りました。
海外からも多くの取材を受けるのだそうです。
これからも、涙活に、注目です。