友人は、6年前まで
ある出版社に勤務していた。

レンタルビデオ店向けのフリーペーパーのようなものを
作っている会社だった。
8年くらいは勤務していたと思う。

しかし、6年前
業界の不況などもあり、会社自体が解散する事に。

それから、彼のとりまく状況は変わっていった。


まず、同僚の先輩らが
彼のスキルを見込んで(一緒に新しく独立してやろう)と
誘いがあった。

しかし、数ヶ月もしないうちに
考え方の相違で、彼は先輩の元を出て行った。


その後、同じように
元下請け業者の方から(一緒に仕事をやろう)と
誘いがかかった。

これだけ声が掛かるのも、友人のキャラのなせる事だし
人望もあるものだと思ったものだ。

しかし、、また数ヶ月もしないうちに
ケンカ別れして、やめてしまった。。


そして今度は、(自分一人で、独立してやる!)と
これまた、元先輩の事務所に間借りをして
やる事になった。

が、、、ここでも
元先輩とトラブルをおこし、追い出されてしまった。。


当時、僕は友人に(うまくいかない)と
相談を受けていたのだが、だんだんと
彼の側にも問題があるように思えてきた。


ついに、プータロウとなってしまった友人は、
アパートの家賃も払う事が出来なくなり
神奈川の実家へ戻る事になった。


そして、こんどは
タクシー業界の人たちに配る
業界紙の編集部に就職した。
広告を取る営業マンとして入った。

しかし、ここでも
(俺のやりたい事とは違う)と
雇用期間の3ヶ月で辞めてしまった。


またまた今度は
銀座にある広告代理店に就職した。
代理店といっても
元・読売広告社OBの社長率いる
3人だけのところで、そこの営業マンとして入った。
なんでも、時計業界向けの専門誌の
広告をとる仕事だそうだ。

しかし、ここでは (君は即戦力にならない) と
なんと2週間でクビになってしまった。。。


しばらく、彼は落ち込んだ。
しばらく、連絡もこなくなった。


どうやら、地元の神奈川で
マイカーを使って、食材配達のバイトをしていたらしい。
しかし、これもガス代などは自分もちで
あまり収入にはならなかったらしい。

週2回、焼き鳥屋のホールのバイトもやったが
こちらも短期で終了

さらに、新聞配達をやって
なんとか
しのいでいた。(実家なので、家賃はタダで何とかなってたらしい)


そんなときハローワークで
広告代理店・営業職の求人を見つけ、採用決定。
横浜にある代理店らしい。

友人は喜んで
(やっとみつかった。新聞配達も今日で辞めた。がんばるよ)
と言って私と 祝杯をあげた。


しかし、、、
働けど働けど、給料が払われないらしいのだ、、、。
(もうちょっと待ってくれ)と、ごまかされてばかりの日々。
私は、この職場がどういう所だったのかは
詳しく聞く機会がなかったが、金が払われないのであれば
辞めるよりない。

結局、未払いの給料を回収するために
簡易裁判みたいな事をやったり何やと、たいへんな目にあっていた。。。。。


運が悪いのもあるかもしれないが
彼自身もまたしかり、悪い道を選ぶジレンマに陥っている気がする。


私はアドバイスすることにした。

(広告の営業とかじゃなくて、もっとフツーの仕事を見つけたらどうだ?)

この6年、世の中はめまぐるしく状況が変わり
リーマンショック、サブプライム問題以降
日本は大不況である。戦後67年で最悪の状況といってもよさそうだ。

リストラ、派遣切り、東日本大震災、原発問題、民主党の幼稚な政治。。。
新卒の就職はなく、ましてや40近い男の再就職は、困難をきわめている。
また、世の経営者たちも、それを知っているから、特に中小は
上から目線で、安い給料で、やりたい放題である。

彼は、出版系の出身なのでマスコミ業界や代理店勤務を希望していたが
この不況では、とうていかないそうもない。つかむのは前述したようなブラックな所ばかりだ。


彼は悩んだあげく、何週間かして連絡がきた。
(就職が決まった。八王子にある食品会社のルート営業の仕事だ)

手取りで、18万。十分に暮らしていけるレベルだ。
ルート営業なら、対人関係のストレスとかも、そこまでないだろう。
実家暮らしの彼なら、貯金もできるではないか。私は喜んで
渋谷のガード下で、祝杯を上げた。

(最低でも、1年以上は続けるんだ。そして、お金を貯めるんだ。夢に向かうのは、その後でもいいじゃないか。)
私は、アドバイスした。


それから、6ヶ月が過ぎた。
彼から連絡がきた。

(俺、ルート営業辞めた。 再就職も決まった。 DVDの制作会社だ。そこの企画営業だよ。)


え!?なんで辞めたんだ ?? と思う気持ちもあったが
ルート営業の仕事をしながら、片隅でずっと、そういうマスコミ関係の就活をしていたのだろう。
その努力は、買ってあげなくもない、、、。

(そうか、がんばれよ)と、私は声を掛けた。


それから2ヶ月、呑もうと誘いがあったが
私が忙しくて、なかなか時間がとれずにいたが
昨日、友人と新宿で飲んだ。
久しぶりである。

そこで友人、
(俺、来月で仕事辞めるわ、、)

え!!なんで??
またまた私は、訳がわからなかった。。


どうやら、DVD制作会社とは言っても
ようは、プレスをしている会社らしい。
特に、自社工場とかを持ってるわけでもなく
下請けに発注する、いわばブローカーである。
企画物も、たまに自分たちで作ってプレスする程度のことで
会社自体がヤバイというのだ。

社長は、もと大手代理店の出身で70歳ちかく
いわば老後の趣味でやっているような会社らしい。
2番手の専務は社長の娘で、どうやら
はやく赤字続きの会社をたたんでもらいたいらしい(笑

ほかの社員は友人を含めた3人で、一人は同期の入社。
あとの一人は、4年くらいいるらしいのだが、手取りの給料額は10万にも満たないらしい。
カードの借金まみれだというのだ。
これはヤバイと、同期入社の彼と、毎日相談する日々だという。

なんというか、、
面接の時などで会社の空気を察する事は、友人にはムリなのだろうか??

友人は、来月辞める方向で考えているという。

昨日の再会は、なんとも不味い酒になってしまった。。。。

時代が時代とはいえ
友人側にも、問題があるのではないだろうか。。

そんな気もする。