(※この物語はノンフィクションです。実際の出来事、
人物、背景とは一切関係があります。笑)
時は200X年。
日本は堕落の一途を辿っていた。
経済は底辺をはいずり、
就職難はますますその勢いを増し、
それに呼応するかのように弱者は虐げられた
世にはハイエナ共が横行する
容赦なく弱者にその毒牙をむける
今日もハイエナ達が、罪もない人々を貶める。。。。
だが!
・・・・ そんな中、たった一人社会の悪と闘う男がいた。
彼の名は“ムーブ・スタフー”。
・・・・これは一人孤独に世の悪と戦う男の物語である。
序章:はじまりのベル
・・・刺す様な朝日。
遮光カーテンの隙間からもれる強烈な日の光で、
男は目を覚ました。
そのタイミングを見計らったかのように、
数秒後けたたましく目覚まし時計が鳴り響く。
まくらを投げつけ、それでも止まらない時計に
男はしかめ面を向ける。
・・・男の名はムーブ・スタフー。
彼はどこにでもいる凡庸な男(?)で、
世間一般より若干忙しいと思われる仕事をし、
世間一般より若干安いと思われる給金で生活している。
しかしスタフーは、そんな生活に多少の不満を感じるものの、
それを何とかしようという意思はなかった。
・・・金を得て何になる。
毎日楽して金を得たところで、自分は幸せになれはしない。
彼は決して現状に満足していたわけではなかったが、
興味を大前提とした人生を歩むよう心掛けていた。
そして彼にとって「裕福な安定した生活」はそれに当たらない。
それだけだった。
・・・しかたなくベッドから身を出して、
スタフーは目覚まし時計を止めた。
目覚まし時計を
あえてベッドから身を乗り出しても届かない位置に置いたのは、
他ならぬスタフー自身である。
男は女性の平均値をはるかに下回る低血圧で、
寝起きがひどく悪かったからだ。
枕元に目覚まし時計など置こうものなら、
無意識のうちにベルを止めてしまう。
以前に彼は24時間ぶっ通しで寝続けたことがあった。
目が覚めて、時計の上では2周回って3分しか進んでいないように見えたため、
「こんなに寝た気がするのに3分しか寝ていないとは」
と勘違いしてそのまま過ごし続けた。
その結果、休日だと思い続け、大学の授業をすっぽかすという
事件を起こしたことすらあった。
それを懸念しての時計の位置決めだが。。。。。
・・・しかし、今日はそれが災いした。
というのも、今日は休日である。
普段あまり寝られないハード・スケジュールの中、
休日だけは思い切り寝ようとスタフーは決めていた。
前日深夜2:00を過ぎた帰宅時間で、
眠さのあまり目覚まし時計をOFFにし忘れていたらしい。
・・・・スタフーは苦笑した。
忙しい日々が習慣になっているのか、
起こされなければいつまでも寝ていた自分だったが、
どうやら社会人が板についてきたのか。。。。。
嬉しいとも空しいとも言えぬ感情を抱きながら、
男は考えた。
今日は何の予定もない。
このまま寝なおすのもいいだろう。
行きたい場所もない。
というか遊ぶ金もない。
「休日は休むもんだよな」
言い聞かせるように独り言をつぶやいて、
スタフーは再び布団にもぐりこんだ。
・・・・その時である。
ピルルルルルルルッ
けたたましく着信音が鳴り響いた。
・・・こっちもか。
・・・アラームだと思った。
スタフーは寝起きが悪いため、
いつも目覚まし時計以外に携帯でもアラームをかける。
勢いよくOFFボタンを押す。
安堵したのもつかの間、数秒後、また着信音が鳴りだした。
・・・スヌーズにしては早すぎる。
どうやら着信音である。
こんな朝早くに電話とは。
スタフーは時計に目をやった。
時計は午前8時を指している。
・・・どうやら神様はこのままゆっくり寝させてくれる気はないらしい。
仕方なく身を起こし、携帯電話に目をやった。
・・・知らない番号である。
03からはじまる番号。
・・・都内の番号だ。
携帯に都内から、この時点で、
仕事関係である確率が90パーセント以上を占めている。
休日に仕事を持ち込みたくはない。
・・・が。
このまま放置しておくのも不安である。
急用であれば後々面倒なことになる。
スタフーはそういう仕事をしていた。
溜息を一つついてから、
スタフーは電話をとった。
・・・電話先の相手は、スタフーの予想とは異なっていた。
「もしもし」
電話先の男は明るい口調でこう返した。
「もしもし~私●●のワタナベというものですが」
・・・知らない会社だ。営業だろうか?
電話口の相手は若い(多分)男である。
「・・・はぁ」
生返事を返す。
男は続けた。
「実はあなたが当社のサイトをご利用頂いておりましたが、
まだ料金が未払いなものでしてお電話いたしましたぁ。」
・・・・ふむ、まさか
一応聞いてみた。
「・・・何のサイトですか。」
・・・この流れは。
男は含み笑いでこう答える。
「何ってご存知のはずじゃないですか。
●●っていうアダルトサイトですよ。」
・・・やはりである。
これは・・・・・
振り込め詐欺だ。
スタフーだって一般男性である。
アダルトサイトくらいなら見たことがある。
しかしスタフーの性格は基本人間観察主義。
すなわち裏を返せば疑心暗鬼である。
間違いなく有料サイトに登録などするはずもなく、
こういった電話も過去に経験済みであった。
・・・くだらない。
修羅場に慣れていたスタフーは
こういった状況にあわてることなど一切なかった。
社会のゴミめ。
日ごろからこういう輩に、スタフーは憤りを感じていた。
特に、じーちゃん、ばーちゃん子だったスタフーは
老人を騙す輩、(どうでもいいチャラい兄ちゃんならいいが)
それだけは許せなかった。
くだらないことで安眠を妨げやがって。
俺の休日をどうしてくれる。
・・・どうせ暇だけど。
無視して電話を切ろうとしたその時。
「・・・どうせ暇だけど」
彼の頭の中でその一言がコダマした。
・・・まてよ。
スタフーはにやりと笑った。
そして一言、電話先の男にこう言った。
「・・・そのサイトなら知っているかもしれません。」
ここからスタフーの、
数時間にわたる壮絶な
暇つぶしと
社会悪との戦いと
笑える物語が始まった。
第二章へ続く
人物、背景とは一切関係があります。笑)
時は200X年。
日本は堕落の一途を辿っていた。
経済は底辺をはいずり、
就職難はますますその勢いを増し、
それに呼応するかのように弱者は虐げられた
世にはハイエナ共が横行する
容赦なく弱者にその毒牙をむける
今日もハイエナ達が、罪もない人々を貶める。。。。
だが!
・・・・ そんな中、たった一人社会の悪と闘う男がいた。
彼の名は“ムーブ・スタフー”。
・・・・これは一人孤独に世の悪と戦う男の物語である。
序章:はじまりのベル
・・・刺す様な朝日。
遮光カーテンの隙間からもれる強烈な日の光で、
男は目を覚ました。
そのタイミングを見計らったかのように、
数秒後けたたましく目覚まし時計が鳴り響く。
まくらを投げつけ、それでも止まらない時計に
男はしかめ面を向ける。
・・・男の名はムーブ・スタフー。
彼はどこにでもいる凡庸な男(?)で、
世間一般より若干忙しいと思われる仕事をし、
世間一般より若干安いと思われる給金で生活している。
しかしスタフーは、そんな生活に多少の不満を感じるものの、
それを何とかしようという意思はなかった。
・・・金を得て何になる。
毎日楽して金を得たところで、自分は幸せになれはしない。
彼は決して現状に満足していたわけではなかったが、
興味を大前提とした人生を歩むよう心掛けていた。
そして彼にとって「裕福な安定した生活」はそれに当たらない。
それだけだった。
・・・しかたなくベッドから身を出して、
スタフーは目覚まし時計を止めた。
目覚まし時計を
あえてベッドから身を乗り出しても届かない位置に置いたのは、
他ならぬスタフー自身である。
男は女性の平均値をはるかに下回る低血圧で、
寝起きがひどく悪かったからだ。
枕元に目覚まし時計など置こうものなら、
無意識のうちにベルを止めてしまう。
以前に彼は24時間ぶっ通しで寝続けたことがあった。
目が覚めて、時計の上では2周回って3分しか進んでいないように見えたため、
「こんなに寝た気がするのに3分しか寝ていないとは」
と勘違いしてそのまま過ごし続けた。
その結果、休日だと思い続け、大学の授業をすっぽかすという
事件を起こしたことすらあった。
それを懸念しての時計の位置決めだが。。。。。
・・・しかし、今日はそれが災いした。
というのも、今日は休日である。
普段あまり寝られないハード・スケジュールの中、
休日だけは思い切り寝ようとスタフーは決めていた。
前日深夜2:00を過ぎた帰宅時間で、
眠さのあまり目覚まし時計をOFFにし忘れていたらしい。
・・・・スタフーは苦笑した。
忙しい日々が習慣になっているのか、
起こされなければいつまでも寝ていた自分だったが、
どうやら社会人が板についてきたのか。。。。。
嬉しいとも空しいとも言えぬ感情を抱きながら、
男は考えた。
今日は何の予定もない。
このまま寝なおすのもいいだろう。
行きたい場所もない。
というか遊ぶ金もない。
「休日は休むもんだよな」
言い聞かせるように独り言をつぶやいて、
スタフーは再び布団にもぐりこんだ。
・・・・その時である。
ピルルルルルルルッ
けたたましく着信音が鳴り響いた。
・・・こっちもか。
・・・アラームだと思った。
スタフーは寝起きが悪いため、
いつも目覚まし時計以外に携帯でもアラームをかける。
勢いよくOFFボタンを押す。
安堵したのもつかの間、数秒後、また着信音が鳴りだした。
・・・スヌーズにしては早すぎる。
どうやら着信音である。
こんな朝早くに電話とは。
スタフーは時計に目をやった。
時計は午前8時を指している。
・・・どうやら神様はこのままゆっくり寝させてくれる気はないらしい。
仕方なく身を起こし、携帯電話に目をやった。
・・・知らない番号である。
03からはじまる番号。
・・・都内の番号だ。
携帯に都内から、この時点で、
仕事関係である確率が90パーセント以上を占めている。
休日に仕事を持ち込みたくはない。
・・・が。
このまま放置しておくのも不安である。
急用であれば後々面倒なことになる。
スタフーはそういう仕事をしていた。
溜息を一つついてから、
スタフーは電話をとった。
・・・電話先の相手は、スタフーの予想とは異なっていた。
「もしもし」
電話先の男は明るい口調でこう返した。
「もしもし~私●●のワタナベというものですが」
・・・知らない会社だ。営業だろうか?
電話口の相手は若い(多分)男である。
「・・・はぁ」
生返事を返す。
男は続けた。
「実はあなたが当社のサイトをご利用頂いておりましたが、
まだ料金が未払いなものでしてお電話いたしましたぁ。」
・・・・ふむ、まさか
一応聞いてみた。
「・・・何のサイトですか。」
・・・この流れは。
男は含み笑いでこう答える。
「何ってご存知のはずじゃないですか。
●●っていうアダルトサイトですよ。」
・・・やはりである。
これは・・・・・
振り込め詐欺だ。
スタフーだって一般男性である。
アダルトサイトくらいなら見たことがある。
しかしスタフーの性格は基本人間観察主義。
すなわち裏を返せば疑心暗鬼である。
間違いなく有料サイトに登録などするはずもなく、
こういった電話も過去に経験済みであった。
・・・くだらない。
修羅場に慣れていたスタフーは
こういった状況にあわてることなど一切なかった。
社会のゴミめ。
日ごろからこういう輩に、スタフーは憤りを感じていた。
特に、じーちゃん、ばーちゃん子だったスタフーは
老人を騙す輩、(どうでもいいチャラい兄ちゃんならいいが)
それだけは許せなかった。
くだらないことで安眠を妨げやがって。
俺の休日をどうしてくれる。
・・・どうせ暇だけど。
無視して電話を切ろうとしたその時。
「・・・どうせ暇だけど」
彼の頭の中でその一言がコダマした。
・・・まてよ。
スタフーはにやりと笑った。
そして一言、電話先の男にこう言った。
「・・・そのサイトなら知っているかもしれません。」
ここからスタフーの、
数時間にわたる壮絶な
暇つぶしと
社会悪との戦いと
笑える物語が始まった。
第二章へ続く