セイレーンⅡ | 夜の羊の本棚

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ソーシャルゲーム”恋に落ちた海賊王” ”戦国LOVERS”の夢小説を書いています。

更新不定期。

小説らしい文章スタイルを目指しています。

相変わらず、本家にない設定やら、
いろんなこと好き放題書いてます\(^ ^)/
苦手な方、ご注意ください!



セイレーンⅡ


シンの予告通り、五日後の昼にはシリウスはトゥーラに入港していた。
天気は始終穏やかで、真っ青な空に流れる綿をちぎったような白い雲が美しく映えた。
みんなで町の適当な店で昼を食べたあと、リュウガとソウシは例の商人とコンタクトを取りに、他のメンバーは夜まで自由行動となった。

ハヤテは早速、町の鍛冶屋に行き何か良い剣はないかとせっせと探していたが、あらかたすべての店を見てめぼしい物がないとわかると、早々にやることがなくなってしまった。

(天気もいいし…昼寝でもするか)

休めるところを探して、足が自然と海の見えるほうへと向かう。

砂浜へ行くと、ところどころに水遊びをしている子供たちがいた。服をひざ上までたくしあげ、足を濡らして波打ち際を駆け回っている。それらを横目に、ハヤテは人のいないところを選んで上着のベストを脱ぐと、適当に丸めた。それを枕にして、砂にじかに寝転ぶと、なぜかホッとした気になって深呼吸をした。まだ冬が終わったばかりだが、海辺でも日が当たると思ったよりも暖かかった。
流れる雲をおいながら、今回の宝について思いを馳せた。


地図の正体がわかったあと、そのあとはひたすら現地での情報収集が待っていた。
セイレーンの神話の発祥と言われる地へゆき、手当たり次第に人に訪ねて回るのに、有に二週間はかけた。町の年寄りに話を聞いたり、書庫の文献なども見せてもらって、何とか目指すべき海域を絞り込むことができた。行けば生きては帰れないと恐れる町の人の制止を無視して探しにでると、忠告されたとおり途中ひどい嵐にあったが、見事島にたどり着くことができた。
ところが上陸してしまえば、あとは拍子抜けするくらい簡単だった。そこからはシンの地図を頼りに、いとも簡単に宝を見つけることができたのだ。未開の島は、むき出しの岩礁に囲まれ、上陸すると生い茂る木々が行く手を阻んだが、トラップのようなものは何一つなかったのだ。

次は、どこに行くのだろう。今回のような、情報収集ばかりの地味な宝探しは性合わない、とハヤテは思った。嵐を抜けるときは死ぬ思いがしたが、敵と退治するのと自然の脅威とでは、全くの別物である。どうせなら、敵と剣を合わせて、死闘の末に財宝を勝ち取りたい。剣を交えたときのあのなんともいえない高揚感、一歩間違えば命を落とすかもしれない、綱渡りのような緊張、そして相手に勝ったときの優越感と充実は、言葉では表せないほどハヤテの魂を揺さぶり満足させた。





気がつくと、もう夕方になっていた。いつの間にか寝てしまったらしく、海から家々の連なる反対側へ、茜から灰紫の帳がおりている。
近くで遊んでいた子供たちの姿も、いつの間にか消えて、広い砂浜にぽつんと一人きりになっていた。ちょうど、お腹も空いてきたようだと、ハヤテは起き上がって砂を払うと、待ち合わせをしている宿へ向かうことにした。

一階のレストランに入ると、既にほぼ全員がそろっていた。そこにハヤテが遅れてきて、数分後にはシンもやってきた。
皆で夕食を食べながら、話題は例の取引のことになる。

「全く、会うのに一苦労したぜ。多忙だとか言って、体良く追い払われそうになった」

「それだけ、訪ねてくる人が多いということなんでしょうね。でもさすがに、一ヶ月も待つ訳にはいかないし、うまく行って良かった」

そう言って嬉しそうに笑うリュウガとソウシの様子をみると、どうやら取引はうまくいったようだ。そう聞くと、退屈な冒険でもいくらかむくわれる思いがした。そして退屈なときは、飲んで食べるに限る。

「さっすが、ソウシさんと船長!ぱーっと、うまいもん食いに行きましょうよ!」

「お前はいつも食ってるだろ」

「食うことしか考えられないのか、相変わらず残念な頭だな」

「な、悪いかよ」

すかさずナギとシンに口々に言われて、少したじろぐが、リュウガはハヤテに同調した。

「はっはっは、ハヤテのいう通りだ、今夜はパーッといこうぜ!よし、お前らも今夜は娼館にこい、ハヤテ、トワ!」

「は…?いや、それは遠慮しときます…!」

「ぼ、僕も、ちょっと早いと言いますか…!」

勢いよく首をふる二人を見て、リュウガは呆れたような声をだした。

「なんだなんだ、情けない奴らだな。海賊王になりたいなら、女の四人や五人相手できるようじゃないと務まらないぞ!」

「・・・・関係ないと思うんすけど」

「そんなことはない、英雄色を好むって言うからな!」

がははと楽しそうに笑うリュウガに、やれやれとソウシが割って入った。放っておけば船長自らが話を全く違うほうに持って行くので、ころ合いを見て話を戻さなければいけない。

「娼館はともかく、アルコールはほどほどにしてくださいよ。・・・・あとは収穫と言えば、他にいい美術品を見つけたら、またぜひ知らせてほしい、とも言っていたよ」

「では、次のお宝を発見したら、またここに?」

尋ねるシンに、

「そうだな、今回の翡翠は高値で買い取ってもらったが・・・・コネを作るのもいいが、あんまり一人に肩入れして妙なつながりになるのもめんどくせーからな。まあ、次くらいはまた来てやってもいいが、ほどほどに距離を持って取引するのが無難か」

実を言うと、実際に大銀行の総帥――ローランに会ってみたところ、リュウガたちの思っていた以上に、権力を持つ相手である印象を受けた。

ここトゥーラは共和制を取っているため、独裁政治を奮う王がいない。加えて民主制を歌っているだけあって、町の者は皆生き生きと生活しているように見える。
ローランは町の政治を担う委員会のメンバーの一員でもあるのだが、何と言うか―――町の者の彼を慕う気持ちが、大きすぎるのだ。見ているこちらが怖いくらいであった。
早々に海岸で寝そべっていたハヤテは気が付かなかったが、町を歩いていたシンが図書館に行けば“この書物は、ローラン様のおかげで私たちも読むことができる”と言われ、ソウシたちが立派な教会に見入ると“これは~様のおかげで建てられた傑作だ”と説明され、果てには「良い町ですね」、と言ったトワの言葉に“~様のおかげで私たちは豊かに暮らせるのだ”などという始末であった。
一日だけで、耳にたこができるほどだ。ここまで崇拝していると、どことなく空恐ろしい。別にここの町民が幸せならそれはそれで喜ばしいことであろうが、一度この影の独裁者の反感を買ってしまったら、相当めんどくさいことになるような気がしないでもない。
大都市に展開する支店をもつこの男に監視されることにでもなれば、面倒だ。既にモルドー帝国には多額の懸賞金をかけられているが、たいていの国は反モルドー色が強いため、今のところはほぼ問題なく、自由に旅ができている。
それに、力でねじ伏せられた恭順よりも、盲目的な崇拝はある意味質が悪い。このローランと言う男が真の善人であるかわからない以上、変にかかわり過ぎるのは避けた方が良いことのように思えた。
自由な海賊でありたいシリウスにとって、束縛されることほど我慢のならないことはない。

そう思いつつリュウガはぐっと酒を飲み干すと、給仕の女性に威勢よく追加の注文をした。






とりあえずupしたけど、最後の方後でまるっと書きかえるかもしれません。
文章くどいので。
これがのちの展開の布石になっているのか、いないのか(え?)

キャラ達の口調に自信がないです。。。

”ローラン”は”ロレンツォ(デ・メディチ)”のフランス語読みです、ほぼまんまパクリなので、ひねりがなくて申し訳ない(´・ω・`)


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!