僕の初恋の人は
少尉

そう『はいからさんが通る』の
伊集院忍
ですよ。

木から落ちて抱きとめてもらいたかった。
「好きですよ、ずっと前から」
紅緒への恨みを婚約者である
少尉に向ける印念中佐の謀略に
「あなたの受けた運命を
僕も一緒に生きていくんです」

言われたかった。

そんな“彼”を実写で観たら
「なんじゃ、こりゃ」の
阿部ちゃん。

あんた、モデル辞めたら
内定決まってた大企業メーカーに
進めば良かったのに…

何度思ったことか。
人の夢を壊しやがって!

それがそれが
『下町ロケット』最終回の
小泉孝太郎との対決長セリフ
人の夢を助けたいらしいっすよ!
すごい!あのセリフ量を暗記して
ひとつひとつに気持ちがこもってて!

あんた、橋田寿賀子ドラマでも
十分、ピン子とやり合えるよっ!

もちろん毎回毎回
胸が熱くなってたんですよ。

でも、大げさな演出、顔のドアップ
(小泉さん、高橋光臣くんを観て
顔がイイ人はほくろが多いのだなぁ)
しかも最終回前のTBSの
社を挙げての盛り上げ方には
ちょっとクドいなぁ、
と。
そしたら、ぎゅっと縮小された
今までのダイジェスト
泣きの競演にこっちまで
涙が出てきちゃって。

途中に入るCMの企業にまで
「あぁ、あなたたちは
技術に誇りをもって
素晴らしいもの作ってるのね」
なんて
広告代理店にまんまとハマった消費者。

話題作りのキャストさんも
確かに多かったけど
なによりもさ、営業部の
中本賢さん、谷田歩さん
石井一孝さん、山崎育三郎さんのような
ミュージカルや舞台俳優さん
ジャニーズじゃない多くの若手の人にも
見せ場をつくって
「ドラマ作りって面白い!!」
日本の技術者じゃないけど
「いいものをつくろう!」って
思ったんじゃないかなぁ。

こっちも「こんな魅力的な
役者さんいたんだ!」って知れたし。


デジタルの鮮明な大画面で観ると
充血した阿部ちゃんに較べて
あぁ、若い人たちの白目って
本当に白い!澄んでいるなぁ。
でも、それ以上に、
若いときには感じられなかった
阿部ちゃんの存在感と演技の重み。

今ならわかる。
大企業を蹴って、俳優を続け
阿部ちゃんがこの役を
演じてくれて良かった!