会社を辞めて、バイトをしながらマンガを描く日々。
連載はひと月に、2,3本の四コマ漫画
ぼんやりとした夢を持って東京に出てきたカラスヤサトシが、
マジでいっこもいいことがなかった上京当時を振り返った
『おのぼり物語』

会社のマンガシンジゲートのひとりが
「ぜひ!」と貸してくれたんだけど
面白かったよ~。

横浜市の外れとはいえ、神奈川県に生まれ育ち
10代になった頃にはひとりで
渋谷とかにはいそいそと出かけてたので
「上京」って感覚は、あまりないのですよ。
もちろんトウキョウへの憧れはいまだあるし
山手線でいうところの新宿-東京より上は
未知の世界で怖い。

けど「入学や入社でなんとなく出てきただけだよ~」て
大多数の人でも、上京してきたすべての人に
「この人は、実家や故郷を出てきたのだなぁ」
あたしは敵わないやなぁ って引け目を感じちゃうんですよね。


あたしなんて生まれてこの方、
抱えてたものを「捨てる」作業さえしたことないもん。
(小学校時代使ってたジャポニカ学習帳さえ残ってる)
実家にもしょっちゅう帰ってるし、既婚の友だちには
「実家の自分の部屋はもう物置にされてる」とか聞くけど
あたしの場合、どんどん浸食してる(゚ー゚;

そんなあたしが、
知り合いがほとんどいない、土地勘もない街へ出てきた
不安やドキドキ感、孤独を、疑似体験させてもらいました。


それはカラスヤさんと「妄想」って共通項があったから。
道に面した窓を開け放ち「いらっしゃいませ~」と
マクドナルドのドライブスルーごっこをしたり
ビニール手袋を足に履いて「カエル星人~」
ひとりはしゃいだり、「ある!ある!ある!」って
シンクロできたよ。


後半、父親のガン発覚で話の流れは変わるんだけど
親と離れて暮らしている人は
(近くに住んでても、だけど)
なにかあったときに急行できないリスクもあるんだよね。
「30歳か、もう大丈夫やな、30やし」って
病に臥せる親の言葉に

~30歳にもなって「大丈夫」の根拠が
「30であることしかない」自分が情けない~


主人公のモノローグは、37歳にもなってその状況の
あたしにも強く、痛く言えることで……


ギャグマンガにしんみりしちゃうようになったなぁ。