先生とわたし



ー新しくきた体育の〇〇先生、かっこよくない?

ーなんかさ、前テレビに出たんだって

なんて番組だったかな?スポーツ選手権みたいな…


学生の時、

他の学校から来た保健体育の先生に周りの女子は夢中だった。


小柄だけど若くて体格もよくて、

顔とか話し方とかは……なんか、チャラそう。

25歳だって風の噂できいた。



25歳……?


その人気者の先生と2人ではじめて話したのは

先生が配属されて2ヶ月後。


ーー


当時陸上部だったわたし。

入ったばかりで何処にも配属されてない先生。


突然降ってきた雨に部活を中断して、

それぞれ雨を凌げる場所へ、

わたしは体育倉庫に雨宿り。


走り高跳びしてたわたし、

今日に限って先輩県大会でいないし

同級生は今日は休み。



ーー


「あーー降ってきたか。」

体育倉庫片付け中の先生。

「そうなんですよ、もうずぶ濡れ(笑)」


初めての会話はこんな感じだった。


大丈夫か?って言って、

肩にかけてるタオルをわたしの頭にぽんっと投げた。


随分と雑な感じだったけどなんか嬉しかった。


みんなの憧れてる先生が

自分にちょっとだけ優しくしてくれたって


優越感……?みたいな。





「雨止まないね」

「通り雨だろ、すぐ止むよ」

「先生ってさなんでそんな歳で異動……してきたの?

もしかしてなんか悪い事したーー(笑)」



少しの間の後、先生は言った。


「オトナの事情だよ(笑)」