激しく雨が降る中、二つの試作機は
大陸の東側にある帝国・ディノケルシーバー
へと帰還している最中だった
「こんなんでコピー機ってんだから
オリジナルはどれだけすげぇんだろうなぁ…
そう言やコピー機って、後2体いるって話を
聞いた事があるんだが、どんな奴なんだ?」
「…………ハァ」
リーファイの質問に水薙はため息をついた
「ちょ、何だよそのため息は…」
「別に、ただ貴方が怠け
過ぎている事に呆れただけです」
「怠けてるとか言うな。
忙しいんだよ……その、色々と」
段々と声が小さくなっていく。
モニターに映る水薙から目を背けて
「ふぅん、どう忙しいのかきっちりと
説明してもらいましょうか?
ここ最近、毎日仕事を私に押し付けて
自分だけが遊興三昧な日々を
暮らしている事のどこが忙しいのかをね」
リーファイをキッと睨みつけた
その鈴の様な音色の声が少しずつ
重く低くなっていく
「遊興三昧って……俺はまだダ――」
「ダメ人間です!それはもう
手遅れなところまで!!」
雷が落ちた
「っ!!」
リーファイは内心、ヤベェと連呼していた
ここから先は幼馴染みの
長~~~~~~~~い
説教コース突入を確信した
くどくどねちねちとリーファイの心を抉る様に
延々と色々(嫌みとかそんなの)
含んだ説教が続いた
リーファイはと言うと
ガクガクブルブルしながら
水薙に謝っていた・・・。
しかしこのリーファイ
改善の余地は見受けられないとか何とか……。
一通り説教が終えると
水薙は深くため息を吐き
残り二つのリヴァールタイプの説明をした
「さて、後二つのリヴァールタイプですが
一つは、射撃型のリヴァール・テイカー
この機体は、コピー機とは言え
オリジナルと互角以上の戦いが出来ます
もちろん、パイロットにもよりますが…
今のところ、そのパイロットは
まだ見つかっていないそうです」
「候補はいるんだろ?」
「ええ、ですが私の見立てでは
今の候補に機体のポテンシャルを
引き出せる程の腕の
持ち主はいませんね」
「んじゃあ、俺―――」
「論外です」
「…………」
「さて、残りの一機はシェパーと同じ
高機動型のラディゲンですね
ただシェパーとは違って
若干近接向きに作られています
分かりやすく言えば
ラディゲンがアタッカー
シェパーがフォローと言った感じでしょう
ちなみに、どちらも未だに開発中で
完成はしていません」
「へぇ……そうなんだ」
存分に暴れまわる様な機体で
無いことを知り落胆する
「支援する側では不満ですか?」
「べーつーにーー?」
唇を尖らせながら拗ねる
「もうじきで帝国に着きますよ」
「そーだねー」
やる気無さげな返答に水薙はため息をついた
帝国・ディノケルシーバー
一人の兵士がある部屋の扉をノックする
「ちょっと待っててもらえるかしら?」
部屋の中から、女性の声が聞こえた
「はっ!」
待てと言う言葉に従う、それから2分後
「待たせてごめんなさいね?
どうぞ入ってください」
部屋主の入室許可を貰い
「はっ!失礼します」
そう言い、兵士が部屋に入る。
部屋の中は和室風で
これは部屋主の趣向である
土足で入っても良いようにとそう言う理由で
床は畳みではないのが少し残念である
「それで、どう言った用件かしら?」
桜柄の着物に羽織をはおった姿
長くて茶色い髪を後ろに束ねている
女性が兵士に尋ねた
「はっ!ストルアード准佐と立花中尉が
もうじきで帰還するそうです」
兵士は敬礼をしながら報告をする。
「そうですか、あの子達が……
分かりました。ありがとうございます」
そう言い、兵士達にニッコリと微笑む
「では大佐、失礼します」
そう言って部屋から出ようとすると
「ちょっと待ってもらえるかしら?」
女性は兵士を呼び止めた
「何でしょうか?大佐」
その場で振り返り、尋ねる
「貴方にお願いがあります
ストルアード准佐と立花中尉が戻り次第
私の所へ来るよう言伝を頼めますか?」
と聞くと、兵士は「了解しました」と答え
部屋を出ていった……
帝国・ディノケルシーバー ドッグ内
「あーーテストが終わったなーーーー」
リーファイはまだ拗ねていた
見事なまでの棒読み。
「准佐殿、貴方はいつまで子供みたいに
拗ねてるつもりですか?」
「ふっ、別のリヴァール…ラディゲンが
俺専用機になるまでだ……」
水薙の質問に鼻で笑い
自分自身を嘲笑うかの様に答えた
「まだ出来ていないのに
自分専用とか言わないでください」
はぁっと溜め息を吐く
「ストルアード准佐、立花中尉」
先程の一人の兵士が二人を呼んだ
「ん~?」
「はい?」
リーファイはもうやる気無しに
水薙は小首を傾げながら振り返った
「柄長大佐がお呼びです」
「ん、りょーかい」
「そうですか、ありがとうございます」
リーファイは片手でひらひらと手を振り
水薙は兵士にお辞儀をした
「はっ!失礼します」
そう言って兵士は敬礼し二人の下から去った
「さて、行くか~」
「准佐殿?しっかりしてください」
やる気無しな上官を注意する……が
「やなこった」
即答
「・・・・・・」
冷めた目でリーファイを見る
が、拳を握りフルフルと揺れている
もし、二人きりだった場合
今頃、水薙はリーファイに拳骨を
一発叩き込んでいただろう
「まぁ、良いでしょう。
早く大佐の所へ向かいましょう」
「へーい」
ドッグから移動する事15分
二人は柄長の部屋の前に辿り着いた
リーファイが扉をノックする
「ちー姉ぇいる~?」
上官としてではなく、愛称で呼ぶ
「・・・」
水薙はリーファイをキッと睨みつけた
その目は、少しは気を付けろと言わんばかりだ
「おぉ、水薙のにらみつけるこうげき
俺の防御力が一段階下がったぞ……」
「何の話ですか?それは」
「いや、何でもない。忘れてくれ」
「どうぞ」
中から返事が返ってくる
「ちぃぃぃ姉ぇぇぇぇ!!
ナギが苛めてくるよおぉぉ!!!」
扉を開けるなり、突然リーファイは
部屋主の下に駆けつけ抱きついた
「待ちなさい、リーファイ!
誰が苛めたですって!?撤回しなさい!」
リーファイの大袈裟な態度にちょっと苛ついた
「あ、あらあら・・・大丈夫?」
いきなり抱きついてくるリーファイに戸惑う
「うえぇぇぇん!怖かったよ~~!!」
嘘泣きをするリーファイ
「そうなの・・・よしよし」
優しく抱きしめ、背中を撫でる
リーファイを慰めている彼女の名は
柄長茅賀(えなが ちか)、他国では
妙算(みょうさん)もしくは
鬼謀(きぼう)柄長と呼ばれ畏れられている
(ちなみにではあるが、リーファイが
嘘泣きをしている事は既に把握済み)
「大佐殿、あまり甘やかさないで下さい
すぐに付け上がります」
「あら?昔みたいに義姉様って
呼んでくれないのかしら?」
小首を傾げながら水薙に聞く
「呼びません」
「呼んでくれないのかしら?」
「呼びません」
これが後、二回ほど続いた
最後は水薙にくどいですと言われる
「そう……」
残念そうに溜め息を吐く。
「昔は義姉様義姉様って私の後を
リーファイと一緒にくっついて来てた
あの頃の可愛いナギは
一体何処へ行ってしまったのかしら?」
明後日の方向を遠い目で見る。
「それは十年も前の話ではないですか。
それに、もうあの頃の私ではないのですよ?
いつまでも昔の私だと思わないで下さい」
リーファイは茅賀からそっと離れて
音も気配も立てずに水薙に近づいた
「ひゅ~どろどろどろ~~……」
「っ!?」
「う~ら~め~し~や~~」
「きゃあああぁぁぁぁぁっ!?」
水薙は耳を塞ぎその場に
しゃがみこんでしまった
その様子を見ていた茅賀は苦笑を浮かべる
「な~にが昔の私じゃないだ
いつもの怖いのがダメなナギじゃないか」
リーファイは腹を抱えてゲラゲラ笑う。
「リーファイ………?」
殺気混じりの低い声でリーファイを呼ぶ
(あっ………やべ)
時、既に遅し……
「あっ――――」
部屋の中で凄い音が響いたそうな
果たして、リーファイは無事なのか?
そんなわけあるまい。ツヅク
キャラ・機体・用語紹介
帝国・ディノケルシーバー
東の大陸にある大きな国
名前の割には殆んどが和風と変わった国である
とある王が一度この国を徹底的に壊し
自分好みの和に創り直したとかなんとか…
ちなみに、防衛戦となると圧倒的堅さを誇る。
他国からは難攻不落の国と言われるほど
但し、攻めとなるとやや弱めである。
柄長茅賀(えなが ちか)
年齢21歳 身長168 階級大佐
リーファイや水薙にとっては姉の様な存在
性格は至って温厚、怒ると怖いタイプ
量産型カスタム機のパイロットを務めている
演習か余程の事でもない限り
彼女が機体に乗る事は滅多にない
ちなみにではあるが、家事スキルは万全で
時間と相手の都合さえ合えば料理を振る舞う
そのせいか、多くの人や兵士から慕われ
帝国内でお嫁さんにしたい人No. 1だとか…。
リヴァール・テイカー
リヴァールタイプのコピー機
射撃に特化させた機体、大きさは11M程だが
重量は他のリヴァールの中で一番重い
武装は複数種の銃ピストルからライフルまで
(総称・バリアブルアドバンス)を持つ
また、各銃に連結・分離が可能
他にも、腕に使い捨てのコインを仕込み
放ってから銃弾を当て、弾の軌道を変えたり等
攻撃方法が非常に豊富
更にテイカーにはステルスが搭載しており
姿を消す事は出来ないが
レーダーに反応されないと言う特徴を持つ
速度はコピー機の中で最速、最高は520k
癖が強く、性能を最大限に引き出せる者が
いないと言われている
今の所、開発中ではあるが
予定を変えられる事はない。
リヴァール・ラディゲン
リヴァールタイプのコピー機。大きさは10M程
武装は右腕に杭打ち器、左腕に小型のシールド
両脚部にはブレードを装備
また、シールドにはガトリングが
仕込まれている
速度はシェパーと同じと言ったところ
テイカーと同じく開発中で
予定を変えられる事はない
立花家
帝国内にある大きな日本屋敷
庭には一本だけ年中、大きな紅葉が咲いている
どうして咲いているのかは不明
一刀流・抜刀術・二刀流
双刀流(一つの柄に二つの刃)
と、剣術のみを使う武門の家
次期当主の候補はそれなりに多い
次期当主の条件は一刀流から双刀流の内
最低でもどれか一つだけ
全て完璧に習得している事である。
素質を見込まれ拾われた者は
養子として育てられる。
立花家に拾われた者の殆んどが孤児である
実はリーファイだけでなく
茅賀も養子として拾われているとかなんとか。
後書き
後付け設定とか言うな
思い付いちまったもんは
しゃーねーんだよ……orz
不定期こーしんフタタビ。
