[由来]

「永田町の巨鯨」「政界のお化けカボチャ」とアダ名される身長180cm、体重百数十kgの巨漢議員が、その日本人離れした肥満体型を心配した主治医から本格的なダイエットをすすめられた。この時、自身の健康は気になりつつも苦しいダイエットに取り組む決意が固まらなかったこの議員は、到底実現不可能と思われる「総理大臣になる」という目標をダイエット開始の条件としたが、こういう時に限ってうっかり内閣総理大臣に就任。こうなっては年貢の納め時とばかりに覚悟を決めたこの新総理は人が変わったようにダイエットに取り組むようになったが、総理就任後の政策方針として国家予算のムダを極限まで削ぎ落として「スリムな予算」を実現するなど明らかにダイエットの影響が見られたことから、日々痩せゆく外見も相まって気づいてみれば「シェイプアップ内閣」と呼ばれるようになっていた。

 

[足跡]

こうして順調に体重を減らしながら、その支持率は逆に増加させていった「シェイプアップ内閣」総理は、閣僚たちや野党議員の中にかつての自分のような体型の者を見つけると国会での審議などそっちのけでダイエットの素晴らしさを小一時間に渡り語って聞かせると共に、自分と同じようにダイエットに取り組むことを執拗にすすめるのだった。また、日々の試行錯誤の中から総理オリジナルのダイエット法「ダダダ・ダイエット」を発案。これは、その場で「ダダダ」と足踏みするだけの超お手軽な運動法で、場所も取らず、いつでも、どこでも、子供から老人まで誰でも気軽に取り組めることから肥満に悩む国民から広く注目を集めた。さらに、総理の実の息子がメインボーカルをつとめるハードロックバンド「OBANDES(オバンデス)」による「ダダダ・ダイエットのテーマ」が空前の大ヒットを記録したことからシナジー効果が生じ、我が国に「ダダダ・ダイエット」の一大ブームが到来。これにより平均寿命が男女とも3才アップ、年間医療費の大幅な減少など、国民の健康状態に明らかな変化が認められるほどの事態となった。こうして一国の情勢を様変わりさせてしまうほどのダイエットの可能性にすっかり魅了された「シェイプアップ内閣」総理は、すっぱりと潔く総理を辞任すると政界からも引退することを決意。そのまま荷物をまとめて渡米すると、世界に知られた肥満大国アメリカの地で引く手あまたなダイエットインストラクターとして満ち足りた余生を過ごしたという。