「明日休むから、決裁は飛ばしておいていいから」

「明日と明後日は、出張だから、決裁は飛ばしてもらっていいから」

 

 上司の課長は休暇や出張で不在のことが多い。

そのため、決裁を飛ばすことが多い。

 

 社内にいても、急ぎの決裁だったと後から説明して、飛ばすことが多い。

 課長は決裁文書に関心はなさそうだし、そもそも、今年度で定年になり、定年延長せずに退職予定なので、心は退職後のことを考えている。

 

 私たち部下は、課長のことを「後閲上司」と呼んでいる。

 

 後閲とは、「決裁に急を要するような場合に、経由者に『後閲』と記入して上位者に回議する」という意味がある。

 

 後閲上司が席に戻ってきた。

 私はいつもどおり課長に説明した。