「総理。国民の支持率が20%を切って、身内の党からも批判を浴びておられますな。まさに、四面楚歌ですな」

 国会で野党代表が嘲笑した。

「私は、四面楚歌であるとは思っていません」

 議場がどよめいた。

「四面から、つまり、私の周囲から、楚(そ)の歌は聞こえてきませんのでね」

 総理は微笑んだ。