とんちで有名な一休宗純禅師は、亡くなる直前に、私が亡くなった後、将来、この寺に大きな問題が起こったときに開けなさい。それまでは決して開けてはならない」と言い残し、三巻の巻物を弟子たちに遺したという。
弟子たちは、その教えを守り、決して遺言状を開くことはなかった。
一休さんの死後、さまざまな問題が持ち上がる度に
「いざとなれば一休和尚の遺言状が解決してくれる」という安心感もあっただろう。
何年か後に、寺に大問題が持ち上がり、寺の存亡の一大事になった。
弟子たちは、知恵の限りを尽くしたが、妙案を思いつかず、どうしようもなくなってしまったという。
そのとき、一休宗純禅師が遺してくれた巻物のことを思い出して、恐る恐る紐解いてみると、その巻物にはこう書かれていた。
一巻目 ・・・ 大丈夫
二巻目 ・・・ 心配するな
三巻目 ・・・ なんとかなる
それを見た弟子たちは、さぞかしありがたい教えがあると期待したが、誰もが思いつく言葉だったので、あっけにとられ、笑い出したという。
そして、そのとき、素晴らしい解決策を思い浮かべたという。
「なんとかなる」と信じていたら、本当に「なんとかなる」もの。
大丈夫
心配するな
なんとかなる
この言葉を書くだけで、何とかなりそうな気がする。
私は、大変僭越だが、もう一つ、
なんともならんものはならない
と加えたい。
なんとかしようとしても、なんともならないこともある。 無理してやろうとしてもできない。そのときは、あきらめればいい。そう思えば、心が楽になるから。