そんなもん。おまえ・・・。

 

 関西の人だが、こうした発言をする人がいる。

 “おまえ”は特定の人間を指しているのではなく、と理解しているが、あの、その、と同じで、会話をつなぐ言葉と理解している。

 

 しかし、おまえ、と言われると、なに!と怒りの感情が込み上げるのも自然である。

 

「どうして、殺したんだ?」

 刑事が言った。

「バカにされたと思ったんだ。おまえ、おまえ、と呼ばれて、見下されて、あいつは成功したから、俺を見下して・・・。許せなかったんだ」

「そんなことで、人を殺したのか!」

「そんなことじゃありません。人生の成功者だと思って、俺のことをバカにしやがって・・・」

 

 これが、伝説の「おまえ殺人事件」である。