「頂上は、まだですか?」

 私は息を切らしながら言った。

 私は登山ツアーに参加した。

 美人の若いガイドさんが案内してくれると聞き、ガイドをお願いした。

 歩き疲れて、ガイドさんと会話を楽しむことも辛くなるほど、疲労が蓄積していた。

「ここからは、もう目と鼻の先です」

 ガイドさんが白い歯を見せた。

「目と鼻の先?」

 私は疲労で思考回路が麻痺していた。

 目と鼻の先?

 目と鼻の間という意味とは知っているが、自分の顔の目と鼻の間は5センチほどしか離れていない。

つまり、5センチの距離にある? それは、さすがに、ないだろう。

 冗談はいい加減にしてほしい!

「あと5センチって、どういうことですか?」

 ガイドさんはきょとんとした顔をした。