「警部。血痕です」

 刑事は青ざめた顔で、床に赤い血が落ちていると上司の警部に指摘した。

「確かに、血だが、これは、動物の血だな」

 警部は苦笑した。

「えっ。そうなんですか。見事に、騙されました」

 刑事は笑った。

「まだまだ修行が足りないな。これを、血痕詐欺と言うんだ」

 警部はからかった。