俺は人を殺したかもしれない。

 会社の上司のパワハラに耐え切れず、上司を殴ったら、床に倒れて目を覚まさなかった。

 誰も住んでいない奥地に隠れれば、捕まることはないだろう。

 

 俺は人里離れた奥地に逃げ、誰も住んでいない家を見つけた。ここなら、警察も来ないだろう。

 お金がないから自給自足の生活をしないといけない。

 生活は不自由だが、ここなら捕まる心配はない。

 

 住み始めて五年が経った。

 ある日、若者が訪ねてきた。

「ポツンと一軒家」というテレビ番組の制作スタッフと名乗った。衛星写真から人里離れた建物を探し、訪ねてきたという。

 取材したいと申入れがあった。

 俺は丁重に断ったが、簡単には引き下がらない。

 どうしよう?