「晋どん。もうここいらでよか・・・」
 西郷隆盛は征韓論に敗れ、明治政府を追われた。西南戦争を仕掛けたが、当初から勝つ見込みのない戦いだつた。
 政府軍に攻められ、もうはやこれまでというとき、側近の別府晋介にこう言った。これが西郷隆盛の最後の言葉と伝えられている。

 明治維新の立役者の一人である西郷隆盛が悲運の死を遂げたのはあまりにも悲しく、日本国は偉大過ぎる人を失った。
 徳川幕府に江戸城を明け渡しさせ、江戸が戦火となることを回避した。これは幕府役人の勝海舟の功績とも言えるが、西郷隆盛だからこそ、勝海舟の提案を受け入れただろう。
 西郷隆盛の功績には枚挙にいとまがないが、今もなお多くの人に慕われているのは、西郷隆盛という人間が多くの日本人の心に息づいていて、子々孫々に語り継がれているからだろう。

 

「晋どん。もうここいらでよか・・・」

 もうこのへんで終わりにしよう。

 もう十分戦ったから。

 もう十分訴えたよな。


 どんな思いが込められているのだろうか。

 いろんな思いを感じる。


 敬天愛人(けいてんあいじん)。


 人生の終焉のときがまさに、敬天愛人だっただろう。