今回、事前情報で「美濃戸口から先は車両通行止めになっている」と聞いていた。しかし、現地に着くと、通行止めは解除(?)されており、林道入口に、凍結注意、そして、スタッドレスに四輪チェーンを推奨、と看板があった。


実際のところ、私はスタッドレスに二輪チェーンで進んでしまった。


これには理由があって、かつて、四輪チェーンでスタックしたときに、脱出用のラダーを噛ませたのだが、金属チェーンがラダー上で滑ってしまい、結局、二輪のチェーンを外してラダーを噛ませ脱出したことがあったのだ。それで、スタックしたら二輪チェーンにするのだし、ならば最初から二輪チェーンでいいや、と、チェーンも一組しか持っていかなかった。


しかし、これは明らかに判断ミスだった。以前四輪チェーンでスタックしたときは降雪中であり、積雪量がそもそも多すぎる状況だった。しかし、今回は凍結路であって、四輪チェーンでスタックということは考えにくい。それならば操作性を考えて四輪チェーンでよかったと思われる。


また、帰路は、ところどころ雪はおろか、氷さえ溶けて、路面が露出している状態だった。ここではむしろ、チェーンが切れないように走ることに神経を使った。もちろん、念の為にチェーンの修復の道具は持っていたが、二輪チェーンでチェーンが切れると、場所が悪ければ危険な状況に陥りかねない。仮に二輪チェーンで走行したとしても、二組チェーンを携行していれば、万一チェーンが切れても対応は早かっただろう。


このチェーンのことが今回の山行の一番の反省だ。そして、これって山道におけるアイゼン、ピッケルの使用と似ている気がする。


森林限界を越え、ある程度の危険が予想される山道では、アイゼン、ピッケルは必須というか、使って当たり前のものだ。しかし、たまに、ストックで登った、とか、軽アイゼンで登ったとか、もっと酷いのになると、運動靴で登った、なんていう人がいる。


もちろん、トレースがしっかりついていて、雪の状態が良ければ、それでも登れることは登れるだろう。でも、その行為は、山登りのリスクを高めていることは間違いがない。冬山では、無駄にリスクを高めない、潰せるリスクは潰しておくべきである。そう考えると、前述のような行為はちょっとどうなのだろうと思う。


しかし、今回のチェーンに関しては、私自身もリスクに対して甘かったとしか言いようがない。幸い、今回は特にヒヤッとすることはなかったが、仮に登山者が歩いていて、その人の横を通る時にチェーンを付けていない後輪が横滑りを起こしたら、などと考えれば、リスクは多少なりともあった。そもそも車の操作性というものは、スタックを起こさなければ良い、通れさえすれば良い、というものではないのは当たり前の話である。


昔、岩と雪の記事の中で、雲表のF氏が、これだけ情報があるんだから(危険と言われるルートであっても)リスクは限りなく減らせるはずだ、という趣旨の発言をしていたことを、ふと思い出した。もちろん、この発言は、とある(というかどこだか忘れた)危険なルートを登攀したときの話で、一般の登山道や林道のことじゃない。しかし、ちゃんと準備しておけばそれほど危険ではないところで、わざわざリスクを高める行為をとってるという意味で、F氏の逆をやっていると言われれば、返す言葉もない。


とは言いつつ、多少の洒落っ気みたいなものはわからなくもない。このくらいの山道、アイゼンなんてなくても平気だよね、なんて言ってみたい時期は、おそらく誰にでもあるんだろう。


転ばなきゃいいんだよ、と冬道をジーンズで歩いていた(晴れた日です)先輩もいた。自分自身、槍の穂先にローファーで登って靴をダメにした、とか、、夏合宿のアプローチで、40kgの背負子を背負ってビーサンで足元を決めたつもりになってたり、恥ずかしい歴史もあったりするので、若い人のやることに大人気なく文句を言うのもどうかとは思う。


いや、正直な話、「このくらいの雪道、夏タイヤで十分でしょ」なんてことを言ったことがあったような気がする。ごめんなさい。さすがに黒歴史すぎて記憶の底に封印しておきたいのですが。


ただ、車っていうのは、やはり走る凶器でもあって、何かあれば、他人を巻き込みかねない。車の運転では冬山以上にリスクを減らすことが重要なのだろう、と、当たり前の結論になって、この話は終わり。