久しぶりの冬山テント泊で、パッキングに悩んだ結果、出発した時点では、もう日付が変わり、31日になっていた。あわてて中央道に乗る。
小淵沢のインターを降りて、いつものローソンで朝ごはんを買う。美濃戸口の手前で、少し凍結している場所があった。車の温度計で外気温はマイナス7度。スタッドレスを履いていても若干滑っている感覚がある。
美濃戸口に午前4時半到着。
美濃戸に向かう林道の入り口には、チェーンを付けるよう勧告する看板があった。素直にチェーンを付ける。チェーンをつけている横を、何人もの登山者がヘッドラントを点灯させて歩いていく。やはり人は多そうだ。
歩いている登山者の方々に避けてもらいながら、林道を美濃戸まで走る。何だかとても申し訳ない気がしてくる。路面は思ったほど悪くなく、特に不安を感じる場所もなかった。程なくして美濃戸に到着。時刻は5時。
予定では、今日は6時に美濃戸を出発して、行者にテントを張った後で、阿弥陀あたりを一本登ってくるつもりである。少し早いがこのまま出発しようか、と思ったが、ここで悪魔の誘惑。少しだけ横になる時間があるな、と思ってしまった。
シートを倒し、車中泊用に積んであるシュラフと毛布にくるまった。あっという間に眠りに引き込まれる。要は眠かったわけだ。
そして、目が覚めたとき、まわりはすっかり明るくなっていた。
なんと9時。またやってしまった!
蓼科山に続き、またしても寝過ごしてしまった。寝不足で登るよりいいんだ、と自分に言い聞かせる。
9時半に出発する。久しぶりの大荷物は結構こたえる。登山道はしっかりトレースがついており、高速道路なみの快適さ。岩も多くは雪で埋まっており、夏よりずっと楽なはずだがペースは上がらない。
行者までの道は、一部を除けば夏道通りなので、地図もいらない、というか、トレースがはっきりして高速道路のようになっていて迷う心配は全くなかった。それでもなんとなく習慣で、ザックにぶら下げた地図を確認しながら歩く。というか、地図を確認することにして休憩する。
ここでアクシデント。ザックに入りきらない荷物をちんどん屋よろしく、ザックからぶら下げて歩いていたのだが、今日と明日の行動食もコンビニの袋に入れて、カラビナでリュックの肩紐に掛けていた。その袋がいつのまにやら、風でぶらぶらしている?
立ち止まって見てみると、なんと空っぽ。袋が破けて行動食を落としたらしい。
まだ予備のカロリーメイトはザックに入れているものの、楽しみにしていたお菓子なども全部落としてしまった。諦めかけていたところに、後続の方が、「もしかして、お菓子落としました?」と尋ねてくれる。少し降りたところの登山道の下にお菓子がいくつか落ちていた、と言うのである。
ラッキーと思い取りに戻る。200mほど戻る。南沢から少し離れ、中山の斜面を横切る登山道の横、ほんの少し下にお菓子が落ちていた。ザックを置いて、木につかまりながら斜面を2歩ほど降りる。人が通らない場所なので、さすがに雪も深く、股下まで埋まる。お菓子を無事回収し、登山道に戻ろうとして、図らずもラッセルになった。今季、初ラッセルである。たった2歩だが。
たった2歩のラッセルで疲れて、一本立てることにする。休んでいると、後から登山者が数人通ってゆく。比較的軽装の方もいる。行者はコロナでやっていないので、石室泊まりだろうか。
そういえば昔、登り途中で休憩するな、と教えてくれた人がいたな。と、ふと思い出す。昔々、北アルプスのある小屋でバイトを始めた頃だった。登り始めがキツくなるよ、と言われたのだった。そして、その言葉通り、登り始めの体が重いこと(笑)ホントっすね、と声に出してみて笑った。
山はいい。なんて当たり前だが、こんな樹林帯の道を歩いていると、ふと時間の感覚がなくなることがある。昔、一緒に登った仲間たちと、今も同じ時間にいる気がするのだ。
なんてノスタルジックなことを考えている間に、道は緩やかになり、白河原に出た。横岳が見える。あと少しで行者だ。時刻はもう12時半。美濃戸から行者まで3時間以上もかかってしまった。これで、整地してテント張っていたら、阿弥陀に登りにいくのはだいぶ苦しいことになる。ということで、あっさり阿弥陀計画は破棄。今回の目標はあくまでも初日の出なので、今日はゆっくり過ごそう。
行者に13時前に到着。テントは冬にしては多いが思ったほどではない。「豊○園は言い過ぎでした、ごめんなさい」と、いったい何に対してだかわからないが、心の中で謝っておく。
今日は停滞と決めたので、念入りに整地をして、風除けのブロックも積む。さて、一人で鍋をやるか、と思った瞬間、重大なミスに気がつく。
肉と野菜を冷蔵庫に入れっぱなしだ!
またやってしまった。本日何回目のミスだろう。こんなんで明日、大丈夫かしらん、と一抹の不安を覚えつつ、久しぶりの雪山テントにテンションが上がる。

