憧れの大渓谷 赤石沢~6年越しの想い~ 中編 | FLY HIGH

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登ることは生きること。後悔をしない毎日を。

2日目。

とりあえずたき火から始まる。

 

まずは大ガランの通過。

体が動き始めすぐにこれって。

まーまーの高度感のあるトラバース。

 

んで、ボルダリーな岩場通過と渡渉、高巻きを繰り返して大ゴルジュ入口へ。

(大ゴルジュより手前の滝1ヶ所ものすごく悪い右岸高巻きあった、きつかったーー…)

 

この間、ラジオラリアのナメやら滝やらがどんどんでてきて、

 

やっとここに来れたことが嬉しくって嬉しくって

思わずラジオラリアにチューするから写真撮って!とお願いをしたw

なにやってんだかわかんないけどwww

 

そして渡渉。慣れてきた。

 

雨に濡れているせいか、より赤く見える。おどろおどろしくも感じる。

そして、ガスっているもののししぼね沢(?)とルンゼの気配。

 

休憩をしてから、いざ出発。

 

高巻き始めのあたりから見下ろすゴルジュ。

 

この大高巻き、あまり頭に情報入っておらず、

途中までうすら踏み後でロープなしで進むも小さなルンゼに阻まれる形でつんだ。

 

先輩も『わからない!』となり、若干焦りを感じている気がして

(ここまで私達をサポートしてる精神的疲れも、身体的疲れもあるだろうと思っていた。)

思いきって懸垂下降を提案して、私が先に降りることにした。

 

 

この時私は5年前の懸垂下降のことを思い出していた。

 

これを降りたら合ってても合ってなくても戻れないんだ、という中での懸垂はメンタルにくる。

でも、今回は登り返しもなんとかできるだろうし(1人でおりて、上で待機してもらえば)

なにより一旦皆の不安を落ち着けないとなぁと。

そのパーティ内の一番の経験者が焦ると不安になるしね。

 

降りてみたらまぁ、なんとかいけそうで、

一応先に先輩に来てもらい二人で確認して後輩くんを呼び、ロープをひきぬいた。

そこからはスラブ滝のところまで問題なく歩けた、ほっとした。

 

まだまだボルダリーな岩や深い釜が続く。

 

 

だいぶ水量は減ってきたとはいえ、この谷の大きさ深さに圧倒され続ける。

 

現在地確認がなかなかできないまま、どんどん進み、

沢が大きく南と北に蛇行するところで、入念に現在地を話し合い、

ここを百間の出合とする!として右へ。

 

写真は二俣を正しい方に入ってふりかえったとこなんだけど、わっかりにくいねw

 

よくみるとすぐ後にピンクテープが初めてあった(笑)

 

そこからはヌメリとの戦い。(ラバーソールなのはわたしだけ)

赤石沢特有の赤いラジオラリアが全くなくなり、あぁ赤石沢は終わったんだ、と急に寂しくなった。

 

遠く稜線も見えてきた。

 

まだげんきだよーー!

 

何本もの枝沢を見送り、その度に水量が減り、沢が小さくなっていく。

何年も憧れ続けた沢の終わりが近い。

 

それでもなお大きい滝が支流にもかかる。

 

そして最後にきて美しい百間洞大滝。

 

左岸をロープを出してもらい巻いて滝上へ。

 

ここからはもう大きな滝もなく、ひたすら距離と高度を稼いでいく。

 

もう雨が降っても怖いことはない。

 

風向きを計るための鯉のぼりみたいなヤツが上に見えたとき、

 

ああ、この旅もおわるんだなぁ。

 

と思った。

 

小屋のところに出て、ぐっとこみあげるものがあった。

 

無事に遡行終了だよーー!やったねー!

 

ギリギリ16時前に滑り込んで、カツにありつけた!!!やった!

 

 

 

楽しかったか、と聞かれるとやっぱり単純には楽しかったといえない。

怖いという気持ちをずっとなんとか押し込めていたし。

だけど、私はここにこれて本当に良かったと思うし、嬉しかったし、とても、綺麗だった。

 

見たことのないスケールの沢。総合力。パーティーとしての力。自分の弱さ。

そして、皆といるのに、生きることだけを考えて、そこには山と自分しかいないそんな時間。

 

私はこのパーティーになにもしてあげられなかったかもしれないけど、

でも、皆でなにかしらを補いあって協力して遡行できたとも思っている。

 

よい巡り合わせってこういうことなのかもしれない。

 

 

まだつづくヨ。