CDレビュー:ゆるめるモ!『WE ARE A ROCK FESTIVAL』 | アイドルKSDDへの道(仮)

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心に茨を持つ山梨県民こと「やまなしくん」のブログ。基本UKロックが好きですが、最近はもっぱらオルタナティブなアイドルさん方を愛好しています。

「ロックフェスティバルに出たいけど、なかなか呼ばれないから自分で立ち上げたい」とインタビューで語っていた、ゆるめるモ!のプロデューサー田家大知氏。その田家Pが「もう『俺たちがロックフェスティバル』なんだっ!」と開き直った…かどうかは分からないが、本作は「夏フェス」をコンセプトに制作された7曲入りの「3939枚限定」のミニアルバムだ。ジャケ写はフジロックフェスティバルのコンピレーション盤へのオマージュ(パクり)…という徹底ぶりである。

枚数限定とは言え、本作がファンのみに向けられたものではなく、ロックファンやアイドルファンに広くアピールする内容になっていることは、注目すべきだ。疾走感あるキャッチーなロック(にして何とメンバー自身が演奏!している)#1、ゆるめるモ!史上最も「邦楽ロック」に接近したと言えそうなリードトラック#2「サマーボカン」、トロピカルで祝祭感あふれる#3、田家Pのインディー・ギターロック志向が顕著な#4…と、冒頭、ロック志向の4曲がずらりと並ぶ。続く、モ!らしいラップパートを交えつつも目まぐるしく曲が展開される#5は、でんぱ組.incを彷彿とさせる情報過多ぶりが楽しいアイドルソング。最後の#6・#7はcapsuleを思わせる美しいエレクトロ・ダンスポップだ。

これまでと同じく、モ!楽曲の根幹ともいえる歌詞の数々は、聴き逃すわけにはいかない。”You'll be a star!”(#6「ゆるビスタ!」)…かつてジョン・レノンは「Instant Karma」という曲で「だれもが月や星や太陽のように輝くんだ」と歌った。そして今、アイドルが同じことを歌っている!「ほぼ専属」作詞家・小林愛氏の手がける、弱者へのまなざしに基づいた優しい歌詞の数々は、変わらない感動を私たちに与えてくれる。

メンバーの「もね」と「ちーぼう」が2016年7月10日のワンマンライブを最後に「卒業」し、4人体制となった直後にリリースされた本作。新しい出発にふさわしい、飾らないけれど前向きな姿勢を感じさせてくれる、素敵な内容に仕上がった。不安を抱えつつも、さらなる高みを目指す ゆるめるモ!の現在を知ることのできる作品だ。