新刊 【たまゆら】 400円


いよいよ明日、第二十四回文学フリマ東京『~やまとうた~』ブース(東京流通センター 第二展示場 Eホール F-43)にて発売!!
そこでちょっとだけお歌を紹介します♪


かつて樹であった記憶が雨を地に巡らすように諍いを聞く /飯塚裕香

寝る前の歯磨きのとき思いきり吐き出している一日の毒 /ノーラのら

誰しもが胸に抱える深海に身を横たえるマイナーコード /高良俊礼

少しだけ離れた思い手を伸ばし弾けた雫こぼさぬように /桔梗納戸

たまゆらに乱れ散りしか一陣の風さへなくば愛でにしものを /想壺

今夕はお喋り抜きの食悦を名だたるシェフが指揮するからに /樺風

スーパーのオレンジ色のカゴを手に きみの後ろに居るのが好きで /take1

あたたかな雨を降らせにくるだらうあなたの指のヘクトパスカル /杉本なお

あなたにもひとつわたしにもひとつある正しさを説く六法全書 /真崎あや

身をひとつ背負いて登る山道に息を切らしつ冬富士眺む /AURA

どうしたら良かったのかな 脚本に無かったのにな あの日 あの時 /青山祐己

人型に丸めた布団を抱き寄せて一夜かぎりのおんなをつくる /31音

彼女との時間を長くする魔法、教えておくれアインシュタイン /田中 悟

どの風にほぐれゆくのか雪解けの水の青さが地を巡る頃 /惠美

熊野灘染める朝日の海岸にディーゼルカーは定時を刻む /初音

瀝青に溜まりし水は軸足をコンパスにして飛び越えるべし /あずさゆみ

アキレスの翼の生えた靴を着け我も「選手」と心震える /ぱしり

桃色のネイルをつけた義母の手がベッドの上でひらひら揺れる /縁

立ち位置を揺るがずに揺れ弥次郎兵衛、君が理想だ中庸を行く /はみ

漕ぐもののなき舟のやう流体へ朽ちてただ沈んでゆくだけの /結城ゆき