短期集中連載「流線形'14セルフライナーノーツ 完全版② ~Twilight CittY 編~」
こんにちは。こいしです。
9月になっても夏をあきらめきれない僕は、友人たちと南伊豆方面へプチ旅行に行ってきました。
あの辺の海は水はむちゃくちゃ透き通っている上に9月でもクラゲがいなくて、パワー全開の太陽も、シャウトする蝉の声も、ビーチボールを楽しむリア充男女たちも、まだまだ「夏本番」な感じでした。
「全然9月じゃないじゃん!」を合言葉に、海パワーをたんまりと蓄えて帰ってきました。
さて、「セルフライナーノーツ 完全版」第二回は、M-2「Twilight CittY」をお送りします。
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■Twilight CittY
作詞/作曲:岸田小石
弾けたハイティーンラブ ソーダ水の君は
いつでも純情な瞳 キラリ 振りかざした
フラッシュバックを繰り返す 恋の痛みが
雨のように 肩を濡らしてたあの日
バックミラー そっと 遠ざかってく 夏に
今も 別れ告げられないまま
エンドレスに回り続けてる 惑星のスピードに
振り落とされた夜 願いを込めて待ちわびた トワイライト
溢れる光 メイナードのハイトーンで
深い夜のしじまが ふいに 色めき立つ
パラダイスには もう 程遠い世界
泡に消えた記憶を たぐり寄せる
80'sの淡い煌きに似た 夏に
今は 体委ねていたくて
エンドレスに回り続けてる 惑星のスピードに
振り落とされた夜 涙さえ輝き出した トワイライト
エンドレスに 回り続けてる 惑星の片隅に
誇らしく光ってた 夜の欠片が 流れ落ちてく
踊り続けてた 疲れ知らずの時代
魔法が解けたように 眠る二人を 包みこむ トワイライト
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僕が子供の頃、バブル景気というのが日本全体をイケイケでウキウキな空気で包んでいました。
とにかく日本中に金が余りまくっていて、その異様な雰囲気は香川の片田舎に住んでいたクソガキの僕にもバレバレで伝わってきました。
当時香川県と岡山県を結ぶ瀬戸大橋が完成し、橋の周辺地帯(それまでは香川の中でもクソ田舎だった地域)が一気に都会化して、黄金の巨大なビル、ショッピングモール、タレントショップなどがドカンドカンと建てられて、それまでずっとひっそりと田舎暮らしに浸っていた僕はパニックに陥ったものでした。
僕の父親が働いていた某企業もかなり景気が良かったらしく、年に何度もパーティーを開催し、僕も「豪華客船を貸し切って、できたばっかりの瀬戸大橋の下を周遊して花火ドーン」みたいな愉快な祭りに連れて行ってもらったりしました。いやーあれはほんとに愉快だった。
FMラジオやテレビからは都会感やリゾート感がフィーチャーされたキラキラな音楽が日々流れ、ねるとん紅鯨団やトレンディドラマを観たりしながら、マジで大人になったら楽しい事しか待っていないような気がしていた僕はいつしか、
「ぜったい大人になったら東京に行く!(ついでにハワイにも行く!)」
と決心していたのでした。
また、僕が音楽の道を志した初期衝動的なものもそこにあったような気がしています。
すごく覚えているのは、「パーラメント」というタバコのCMのシリーズがすごくオシャレで、マンハッタンの夜景をバックにBobby Caldwellの「Stay With Me」「Heart Of Mine」などのAORナンバーが流れて、子供の僕にはオシャレすぎてションベンをチビりそうになったものでした。キラッキラのエレピの音色とか、ウィンドチャイムのサワーっとした音とか、たまんなかったですね。
あと、ユーミンの「リフレインが叫んでる」「SWEET DREAMS」「霧雨で見えない」などが流れていた三菱ミラージュのCMも、見るたびにいつも心がザワザワしたのを覚えています。
このへんの曲が収録されているユーミンのアルバム、「ダイヤモンドダストが消えぬまに」「Delight Slight Light KISS」あたりは、ほんとに名盤すぎるのでおすすめです!
(ちなみに有名どころでは、山下達郎の「POCKET MUSIC」「僕の中の少年」、サザンオールスターズの「Southern All Stars」なども、ちょうどそのあたりのいい時代の空気を含んでいて、楽曲のクオリティも超高くて大好きなアルバムです。おすすめ!)
・・・その後、なんやかんやで東京には来たものの、僕が大人になったときにはバブルもとっくに崩壊していて「思ってた感じと全然違ーーーう!」
だったわけですが、あの頃に聴いていた音楽への憧れ、または、あの希望に満ちたウキウキした日本への成仏できない想い、みたいなものを一回思いっきりストレートに表現してみようと作った曲が、「Twilight CittY」です。
CittYの普段の楽曲の中ではかなり変化球のつもりだったんですが、結果的にこの曲が「流線形'14」のアルバム全体を通して漂うノスタルジックな空気感を盤石なものにしてくれたと思っています。
ちなみに歌詞も、そんなバブル時代を追憶している内容です。
ひとつ解説しておくと、この歌詞に出てくる「メイナード」とはメイナード・ファーガソンの事で、メチャクチャなハイトーンの音を出すトランペット奏者なんですが、僕はこの人の、アメリカ横断ウルトラクイズのテーマ曲(元々は映画「スター・トレック」の曲)が大好きで、これも僕の中で勝手に「マンハッタンの摩天楼の夜明け」みたいな希望に満ちたイメージの曲だったので、歌詞に入れてみました。
あと、この曲で特筆すべきは何といっても、真城めぐみさんのコーラスです。
曲のレコーディング作業がどんどん進んでいく中で、もう一歩「都会的な華やかさ」みたいなのが欲しくなり、急遽コーラスを入れようという事になりました。
イメージ的には「例えば真城めぐみさんのような、ソウルフルな声がいいよねー」という話からなんとなく始まったんですが、まさか話に出てきたご本人に歌っていただける事になろうとは、、、
真城さんの歌声は、まさにこの曲に足りなかったピースを一気に埋めて頂いたというか、描いていた以上の都会感をブーストしてくれました。もう最高です。
グミさんのボーカルとの対比感もすごく面白いと思っています。
CittYのライブでもすっかりおなじみのこの曲ですが、そんなバブル時代に思いを馳せながら聴いて頂けると嬉しいです。
以上、「Twilight CittY」でした!
以上、「Twilight CittY」でした!
