みなに幸あれ | 忘れるからね

人間の持つ優しさには限界がある。

どこまでの範囲に優しくするか、人それぞれで、その範囲が少し広い人を優しいと称するだけだ。優しさなどあくまで相対的な価値観で、かつ抽象概念であるからいい加減なものだ。

本当の本当に愛情が溢れてやまず、人類はおろか他の生命にまで優しい人がいたとして、その人が優しさを発揮したいなら、もう自分が追い詰められて死ぬしかない。

たくさんの生命、他人の幸せを犠牲にしてしか生きていけないのが人間であるから、優しさは大事だけど、必ずどこかで割り切らないといけない。そんなふうに犠牲を伴った生を生きている訳だから、それに見合うだけの人生をと思うのだけど、そう簡単にはいかない。

誰かを幸せにする。そんな大それたことは思わなくていい。ただ誰も不幸にしない。と目標を下方修正してさえもまだ難事。

皆に幸あれ。無理難題。




「みなに幸あれ」 2024年 日本

監督 下津優太

一見平凡に生きている祖父母の家を訪れ、少しの間滞在する孫が主人公。

平凡に思えたそこに、言いしれぬ違和感、気持ち悪さを覚える主人公。

やがて、真相にたどり着く。

そこから彼女は何を思うか。みたいな話。