「ガラスの天井」は、ヒラリー・クリントンが2016年、アメリカ大統領の民主党候補としてトランプに敗れた際に、「(ガラスの天井は)破れなかった。いずれ誰かが打ち破ってくれるでしょう」と敗戦の弁のなかで述べたことは記憶に新しい。「ガラスの天井」とは実力や能力があるにもかかわらず、発展や成長を妨げる見えない障壁を比喩するものです。人種、性別、出自の社会的差別を考えるためのキーワードとして重要です。
この言葉は1978年にアメリカの企業コンサルタントであるマリリン・ローデンが初めて使ったそうです。1991年には「ガラスの天井法」(Glass Ceiling Act of 1991)が成立し、女性と少数派の人々の昇進に際して人為的な障壁をなくすことなどが定められました。高市首相はアメリカに先駆けて、ある意味、ガラスの天井を打ち破ったわけですが、最近では「ガラスの崖」という言葉が注目されています。
「ガラスの崖」とは組織や体制が危機的状況になると、社会的に弱い立場やマイノリティがトップに担ぎ出されやすいという概念を指します。例えば経営不振やなど倒産の危機が迫ると、女性がCEOなどのトップの地位に置かれやすいということがあります。 危機的状況の立て直しはなかなか困難で、失敗のリスクも高い。 実際に失敗すると「だから〇〇はトップに向いていない」という偏見を生み出しがちです。たしかにどんなにあがいても赤字を解消しきれない部門やほぼ成功も見込みのない社内プロジェクトのチーム長には社内でも「はぐれ者」が指名されることが多かったような気がします。
労働環境や社会学的な現象としては、わかりやすい比喩ですが、解決する方策のヒントとなるような言葉をみつけてみたいと思います
