病から教わること
私どもの周囲でも、病気で入退院を繰り返す方が増えている。
家族に病人を抱えて初めて分かることがある。
その一つが病がもたらす言い様のない不安である。病気の種類
によっては、死を連想させる不安であったり、治療期間によっては
経済的な不安も大きい。
生老病死は人間が避けることのできない苦しみであり、それをど
う克服するかは人生最大のテーマであり、哲学の範疇になろうか。
夫がこの5年間に3回の入退院を繰り返し、支える私はある種、こ
の間に学んだことがある。年齢さも影響してのことだが、様態がど
うもおかしい、という時には冷静に判断すること。病によっては一刻
を争う場合がある。この判断を誤ると重篤になりかねない。
脳梗塞の時も、敗血症の時も、そして昨年の狭心症の時も、二人
とも非常に冷静に判断し、救急車を呼んだ。救急隊にも医師にも、
「よくこの状態で来ましたね。重篤にならずに済みますよ」と褒められ
た。
初期症状を見逃さず、きちんと対応することが大事だが、体の変調
を敏感に感じ取る夫であったことと、多少ではあっても年の若い、元
気な私がいたから、即断即決で事無きを得たのだと思う。
ベッドの上でまだまだ使命があることを自覚して戻ってきた夫が、
「病になった初めて病人の苦しみが分かった」とポツリ。
病によって人生の大切なテーマ、同じ目線に立って悩むことを学ん
だのだと思う。人生に感謝!