旬のご馳走
八百屋さんの店先を通ると青々としたふきが私を呼ぶのです。「そうだ、
湯葉と炊き合わせにしよう」と買い求めた瞬間の喜びにも似た感情を、誰
かに分かってほしいわけではないのですが、これなくして料理は上手に
なれないような気がします。
品よく京風に仕上げようと思えば、だしを利かせ色は薄く、少し甘めにと
いろいろ考えながら作業している時はやっぱり幸せですよね。先日はウド
をきんぴらにして炊き立てのご飯と混ぜ合わせ、ウドご飯にしてお客様に
お出ししたら、家庭の味から遠のいていた若い学生さんだったのでとても
喜ばれました。
今日の夕飯はふきと湯葉の炊き合わせにぶりの照り焼き、冷凍庫に眠る
ホタテとかにを酢の物にしよう、ちょっと豪勢だけど1週間働いたご褒美と
自分に言い聞かせ、夫の帰りを待っています。
ふきの独特の香りが部屋中に広がり春爛漫いったところ。季節を味わえる
日本に住まう幸せを満喫したいものです。