もー が生まれて14年目の夏。
全国的にも猛暑で当然ながら もー の暮らす地域も連日の暑さが続いていた。
以前は夏でも電気毛布が必要な程低体温で、冷房の影響が心配だったが、ここ数年は冷房の室内でも半袖シャツで過ごせるほど体温調節は上手になっていた。
とはいえ、環境の気温に順応して体温も冬場は低めで夏は上がり気味ではある。
今年の暑さは冷房が効いていても、不快な暑さを感じるほどだったので、室内でも脱水は気掛かりな事だった。
 健常に見える大人でも、体調を崩しがちな気候に、もー のような子がはつらつと過ごせる訳がない。案の定点滴治療が必要な容態になり、夏休み中は大部分をベッドで過ごす事になった。ただ、点滴のおかげで、体温も低めになり、脱水の心配もなかった事は、幸いだったと思う。

 


 夏休み明けからは、順調に体調も戻り、校外学習に出かけたり、充実した生活が送れている様子で安心している。


 もー の暮らすリハビリ施設では、年4回のリハビリ評価というものか出される。
学校の先生やお世話してくださる看護師さん達から、日々の活動の様子、表情の変化や反応を教えていただく事がたくさん増えて、生まれた頃の深刻さを忘れてしまうほど、劇的な成長を感じている反面、専門家の医療面からの客観的な評価には、正直にかなり落ち込んでしまうものではある。
 いつも見ている もー の成長に対する感じ方が、健常児基準では新生児にも満たない事は、理解しているつもりでも、それを遥かに下回るマイナスレベルからは到底脱する事ができない現実。
何が何でも何かにこじつけて、鼓舞していなければ、とても向き合えるものではない。
それでも慣れというか、習慣になってしまった今では、まあまあ、そんなものだよねと、冷静にそれはそれと振り分けもできているのではないかと思う。





 夏休み前の二回目のリハビリ面談から、より細かい評価が出されるようになった。
 生まれた時のアプガースコアも全て0の低評価から始まって、反射も脳波もないない尽くしで、点数には期待を持つ事はしていない。
しかし、良く見てみると、「集団適応 得意」「記憶2」「理解2」「社会的交流」には「3点」も付いていて、母親の欲目でも、今の もー そのものの評価が映り、思わず笑みが溢れるほど、嬉しいものとなっている。

 大勢の人との関わりが着実に実を結んでいる。