もー が生まれてから数年間は、まさに必死に もー の命を見つめてきたので、記憶が飛んでいる事がずいぶんとある。

生まれて初めての秋は、期待と絶望の繰り返しだった。長引く入院。将来への不安というより、明日は生きているだろうかいう緊張感が抜けない日々だった。

そんな中でも、嬉しいことが全くなかった訳ではなく、 もー の微かな変化が大きな喜びでもあった。

しばらくの間忘れていた、生まれた年の秋の日々をこの頃日を追うように思い出す。





   どんな形であれ、過ぎた日々を穏やかに振り返る事ができるのは、今でも もー  が成長し続けているから。

家族それぞれにとって、よりよい形で過ごす選択ができたから、今があるのだとも思う。

我慢しなければならない事も多いのも事実だが、もー も、今の暮らしに大きな不満は抱いていない様子。

   この秋の最大の成長は目の動き。見えているかどうか確かめる方法がないが、折り紙を折る様子に目を凝らし、できあがった作品を見つめて深く息をする。
そういう動きが安定してきている。

   生まれて二ヶ月を迎える頃まで瞼を開ける事のなかった もー 。
微かに瞼が開いた秋の日の驚きは忘れられない。