僕です
 日々車両のコンピューターに携わっていると必ず遭遇するトラブルの一つ、エンジン不調。
エンジンに限らず、何か不調があると真っ先に犯人扱いされてきた僕とECMチューニングですが、原因を特定して容疑を晴らす為にも故障診断能力は必須です。時にはHDディーラーのサービスの方々の見解を覆す事にもなります。
 今回のケースは、しばらく走った後のエンジン再始動困難、エンスト発生、プラグのカブリ、クランクセンサーに関するエラーコード出現、等々…
 
 まずは容疑を向けられたECMセッティングを確認…
 

 
ワイドバンドAFRセンサーに交換して…
 

 
 
燃料セッティングには特に問題無いなぁ… とPC画面をしばらく眺めていると、突然エンジン温度表示が-3℃に… ここで犯人が一つ浮上しました。
 

 
センサーを外してみると、ハーネス側コネクターはパサパサで崩壊。センサー本体の本来動く事のない黒いコネクタがグルグル回転していました。
右側が新品のセンサー、コネクター、ピン一式、左側が主犯のセンサーとコネクター
 
交換するとあっさり解決。ECMはエンジン温度がマイナスと認識した瞬間にウォームアップ状態の濃い燃料を噴射させてしまい、結果としてプラグをカブらせていたようです。しかもずっとではなく、突然なったりなかったり…ムキー
 
 当初の症状から考えて通常の整備だと、まずクランクセンサーを交換するかもしれません。ただ、プラグのカブリや他の不調でこのエラーが誘発されることはすでに経験済みですので、まずセッティングを確認しました。
 厄介なのは今回のように原因となったセンサーに関するエラーコードが出ない事、一般の整備では犯人特定までに無駄なコストと時間が掛かってしまい、結局解決されていないケースも頻繁にあります。 故障診断はアナログとデジタルのどちらかに偏ってもうまく行きませんね。
 
 利益確定のチューニングだけを推し進めてあとは知らんぷりな業者さんもいるようですが、ディーラーさんから疎まれるECMチューニングに携わる限り、ユーザーを守る為の故障診断、追求は表裏一体のお仕事だと思っています。 自分に向けられた容疑を晴らす為に身に付けた事が誰かの為に役立てれば嬉しい限りですね。
 
 他店で修理したが不具合が改善されないことがありましたら、一度ご相談下さい。