振り返れば無数の足跡が見えます。誰かが痛んでくれたからここがあります。
「今」を噛み締めながら、一日一日歩きます。
一刻も早く必要な場所に必要なものが届けられますように。
どうぞ、心澄む一日でありますように。
「目をつむれば」
a
音を立てるのは
かすかに
秒針と水滴と
しゅん馬のいななき
聞こえぬ音を
たぐれば
命を失うことの美しさ
命を長らえることの美しさ
命が震えるその瞬間
歴史がひとつ産道をぬける
静寂にしぶきを上げ
ざんざと音を立てるもの
目の前を流れ流れ
かき抱かん命という音
人類はつながれてきた
無数の場面の連なり
どのひとつにも
いのちの痕
b
ゆれた
そんな
気がして
あなたが
過ぎた
*
どこから来たのか
セピア色の一枚
悲しみと
苦しみと
歴史と
人生と
あっ
かたんと動いたような
風が静かに
抜けていった
*
風が
吹いた
草が
光った
心が
鳴った
大地は
あなたを
いのちと
呼んだ
c
私はあなたを
知っています
外は
光が眩しいけれど
片すみで
いつも
あなたの心を
咲いています
やさしい香り
ほのかに いちりん
d
あなたたちには
見えるのね
あの雲の
むこうに
あの流れの
むこうに
あの光の
むこうに
何かが
住んでいるのが
あなたたちには
聞こえるのね
よごれた
なかに
みじめな
なかに
よわさの
なかに
平和でおだやかな
いのちの姿
motomi
※ 忙しいときほど、心の声に耳を澄ませて。