風に吹かれ | 一冊の詩集

一冊の詩集

人生終わるとき一冊の詩集が出来上がっていたら。
一日一日を大切に。

直接会うことはできなくても、祈ることはできます。

誰もが、見えない祈りに支えられています。

今日を大切に、祈りを込めて。

どうぞ、心豊かな一日でありますように。

 

 

「風に吹かれ」

 

  a

 

歩いてきた

日々

 

振り返ることは

もうしない

 

心に

すべてがいるから

 

悔やむことは

もうしない

 

心に

すべてが満ちているから

 

風が

吹く

 

行き先を

示すように

 

風が

吹く

 

歩こう

心たしかに

 

  *

 

心ざわめき

怒りに燃えるとき

 

心萎えて

死の淵に横たわるとき

 

どこからともなく

やさしき調べ

 

生きて

どれほど経ったろうか

 

別れがあった

絶望があった

 

山があった

谷があった

 

そこに

いつも流れていたものは

 

やさしき調べ

産まれしときに

 

わが魂

いま帰らん

 

  b

 

坂を上る

真正面には射し込む光

 

笹の葉を輝かせるとき

誰かが呼びかける

 

のうぜんかずらの

隠すことなき朱の色に

 

はっと一瞬

息をのむ

 

  *

 

延びたひまわり

垂れたひまわり

 

まだ訪れないひまわりの

どれもが一心に陽を浴びる

 

ねこじゃらし

かやつりぐさ

 

名も呼ばれずに

揺れている

 

  c

 

ひかり

眼下に広がる

 

橋の上

空の下

いのち吹かれる

             motomi

 

※ 心のなかを巡りながら、再び出会い、また綴られます。