「苦しみと悲しみと」

 

   Ⅰ

 

苦しみがあった

悲しみがあった

 

どんな恐怖を通っただろう

どんな地獄をくぐっただろう

 

どんな嘆きを

どんな呻きを

 

からだのなかには

すべてが蓄えられている

 

   *

 

苦しむ人は

さいわい

 

悲しむ人は

さいわい

 

その人は

いのちと共に生きることができるから

 

その人は

いのちの深さを知ることができるから

 

   *

 

いのちは結び

永遠につなぐ

 

歌い続けよう

苦しみと悲しみの讃歌を

 

そこに

働く

 

宇宙の祈りが

ある限り

 

   Ⅱ

 

死ぬまで

問いを捨てるな

 

夢と現実

魂と肉体

 

苦しみを

悲しみを

 

テーマは

そこにある

 

   *

 

人は計画で生きるのではありません

まごころで 生きるのです

 

人の立てた計画は

ことごとく くつがえされるからです

 

人の立てた計画は

待つことを 学ぶためにあるからです

 

人は計画で 生きるのではありません

愛という計画に むすばれます

 

   *

 

闇のなかに

隠されたものたちよ

 

無数の星たち

無数のいのり

 

こだまして

聞こえる

 

地をさするように

聞こえる

 

   *

 

なぜ

苦しみがあるのでしょう

 

なぜ

悲しみがあるのでしょう

 

まったく

願い通りにはなりません

 

だから

いのちといのちが結ぶのです

 

   Ⅲ

 

大地に

うたう

 

人間で

あることを

 

宇宙を

めぐる

 

人間で

あることを

 

万物に

さけぶ

 

人間で

あることを

 

   *

 

ささやかな

喜び

 

たわいない

日常

 

おだやかな

空間

 

なつかしい

ひとこま

 

やすらかな

眠り

 

あたたかな

季節

 

   *

 

生きて

ゆきたい

 

感じて

ゆきたい

 

祈って

ゆきたい

 

耕されて

ゆきたい

 

生まれて

ゆきたい

 

寄りそって

ゆきたい

 

   *

 

輝くもの

それは

 

人間の

体の奥から

 

悲しみは

入り口

 

苦しみは

出会い

 

永遠は

拓かれている

 

今日が

その日でありますように

                motomi

 

※ まだまだ「生きる」ほんの一部も知ってはいないのです。