新しい一歩 | 一冊の詩集

一冊の詩集

人生終わるとき一冊の詩集が出来上がっていたら。
一日一日を大切に。

 「新しい一歩」

 

   Ⅰ

 

一人で生きては

ならない

 

手を高く上げ

足を踏み出し進みなさい

 

昨日ではなく

新しい今日を

 

あなたを

待っている人がいる

 

   *

 

脳は昨日を

探し求める

 

体は痛みを

手探り始める

 

鎖が骨を

縛り始める

 

生かすまいとするものが

辺りに渦巻いている

 

   *

 

昨日は

過ぎた

 

苦しみは

置いて

 

新しい荷物を

背負い

 

前に

向かいなさい

 

   *

 

いのちは

呼びかける

 

闇に

光を

 

昨日の苦しみは

もう

 

新しい一歩に

変えられている

 

   Ⅱ

 

ジジジと

微かに響く音

 

闇深くから

むしろ 鮮烈に

 

いのちの

息づき

 

見えずとも

力強く

 

我らを

ささえん

 

  ***

 

苦しみが

重ねられ

 

明日を

つくる

 

苦しみを

捨てないでください

 

あなたの苦しみが

どうしても必要なのです

 

  ***

 

後ろから

支えるのは

 

あの日の痛み

あの日の涙

 

そこを通らねば

知ることのなかった

 

かけがえのない

宝もの

 

  Ⅲ

 

歩いてみないか

なにも持たずに

 

深呼吸してみないか

このままで

 

そこに 人生がある

 

感じてみないか

碧さを

 

見つめてみないか

見えないものを

 

そこに 風が吹く

 

渡ってみないか

この橋を

 

開いてみないか

この扉を

 

そこに 歴史がある

 

数えてみないか

人生を

 

拾ってみないか

足あとを

 

そこに 思い出がある

 

歩いてみないか

静かな夜に

 

そこに いのちが 灯されている

                   motomi

 

※ 数々の出会い、すべてが今日を励ましています。