「暑いですね」が挨拶のこのごろ。気づかないうちにいのちの危険に晒されています。
誰もが助けられて生きていることを思い出すときかもしれません。
声を掛け合って乗り切りたいですね。
どうぞ、心和む一日でありますように。
「夏を想う」
a
雨戸を とじると
ジジ――と
せみが一匹
とび立った
真夜中に
せみは 静かに
ぬけがらに
帰る
*
われたかけらを
かき集めれば
今日の
ことばができあがる
大人になると
見えてしまう
どうしても
上手く行かない人生
*
そして
大人はがんばってしまう
そして
自分を信じることができない
夢中で
駆けていく子どもたちのように
なぜ あっけらかんと
生きられないのでしょう
*
にっちもさっちも
行かなくなったとき
ギリギリで
息をするとき
無口で
ほほ笑みもないとき
いちりんの花に
祈りがあることを知るのです
*
大人になると
なぜかふと
なつかしくなる季節が
ありませんか
さまざまな出来事を
越えて
夏にひと時
思いを馳せるのです
b
校庭の片隅に並ぶ
朝顔のやさしさ
子供たちの夢を
抱き止める母の微笑みのよう
*
桜の茂り濃く深く
しゃがむ妹の姿 いとしや
誰もいない校庭が
カランと鳴った
*
茂る深緑
流れはゆるりと音を鳴らす
雨で
さらに深さを増して
*
川は
滔々と姿を晒さん
日に当たられて揺れる葉の
何を思って生きるのか
*
ユトリロならどう描くだろう
あの大木を
見上げてひとり
橋の上に吹かれているよ
*
この摩天楼を
誰が描くのか
大空に放たれん
永遠の色に染められながら
motomi
※ 道が見えなくても、足跡の一つ一つが励ましになっています。