内なる声 | 一冊の詩集

一冊の詩集

人生終わるとき一冊の詩集が出来上がっていたら。
一日一日を大切に。

 「内なる声」

 

   Ⅰ

 

砂が

逆巻くように

 

水が

うねるように

 

人生は

与えられる

 

ここに立つこと

息を吸い 息を吐き

 

生きていること

なんということ

 

一人が去り

二人が去り

 

三人四人

去っていった

 

残されて

ただすべてのいのちを

 

ここに

引き継ぐ

 

写真の奥に

ほほ笑みが

 

供えた

果実に潤いが

 

灯されて

灯されて

 

どのときも

助けられ

 

それでも

許されて

 

この身が

残されていること

 

ひしひしと

感じ

 

今を共に

生きる呼吸

 

憎しみ

裏切り

 

あの人も

その人も

 

きっと

生きている

 

己の呼吸に

すべての呼吸が

 

流れ躍動し

励ましている

 

内側から

 

生きよ

生きよ

 

どんな姿であっても

あなたを生きよ

 

人間は

生きる

 

託された

いのち

 

ただ一度

生きないでいられようか

 

あの日

暗闇で生かされたからこそ

 

今がある

今がある

 

内なる声に

今日も人類は託されている

 

   Ⅱ

 

孤独であるとき

むしろ

 

誇り高く

生きるのです

 

今ここにあること

じっと噛みしめます

 

幾千万の深い交わりの中に

置かれているからです

 

   *

 

そよと風

見えないものが流れている

 

闇に耳を

澄ませるとき

 

無数に生きてきた呼吸が

聴こえるようで

 

まるで

隣に肩をならべるように

 

   *

 

どこに

基を置くのか

 

なにを

頼りに生きるのか

 

いのちをかけて

愛しつくす

 

真実な姿が

あればこそ

 

   *

 

今日を

いただきました

 

そこから

はじまります

 

いつからでしょうか

昨日よりも明日よりも

 

今日が

大切なひとひらになったのは

 

   Ⅲ

 

私たちは

聴いているでしょうか

 

日常のなかの

当たり前の出来事

 

歩くこと 食べること 眠ること

失って初めて気づくのかもしれません

 

ここにいることの陰に

どれほど多くのいとなみがあることか

 

ほんの少し立ち止まって目を止めるとき

今までと違う人生が拓かれるような気がします

 

どこからか

「いのち」の呼び声が聴こえてきませんか

                     motomi

 

※ 今日をどこから始めますか。まず聴くことから。