小さな願い | 一冊の詩集

一冊の詩集

人生終わるとき一冊の詩集が出来上がっていたら。
一日一日を大切に。

何をしてもしなくても、日常は誠実に前に進んでいます。

ひと時「時間」から離れ「とき」の流れを感じてみることは大切なことかもしれません。

見えないつながりが見えてくるような気がします。

どうぞ、心の穏やかな一日でありますように。

 

 

「小さな願い」

 

  A

 

すずめ すずめ

なにを 見ているの

 

あなたに 気づくと

歌いたくなる

 

あげは あげは

なにを 探しているの

 

あなたに 気づくと

漂いたくなる

 

ひまわり ひまわり

なにを 燃やしているの

 

あなたに 気づくと

太陽を思いだす

 

  *

 

あなたは なにを

願いますか

 

かけがえのない

この夏に・・・・

 

小さくていいのです

ただ

 

少し

素直になるだけ

 

  B

 

濃紺の空を

じっと見つめていると

心のなかの星座が見えてくる

 

きらめいてきらめいて

一番星が

生きてるかいとささやいてくる

 

さいごに見たのはいつだろう

ビルの裏道の

星くずたち

 

さびれた町の

誰かが泣いてるような

孤独な部屋で星をひろう

 

いのちは消えて星になる

幾千万の星たちが

見えないいのちを浴びせかける

 

なんのために生まれてきたの

途方にくれる旅人のために

道をそっと照らすため

 

なぜですか なぜですか

さいごまで 

問いかけつづけるのです

 

心の内を

星に願いながら

人間は生きているのです

 

  C

 

花びんのユリが

いくら笑いかけてきても

目をふせたくなるときがある

 

ぬれた夜道を

わけもなく裸足で

かけ出したくなるときがある

 

人ごみの中で

誰にかまわず

大声で泣きたくなるときがある

 

ひとしきりの嵐のあと・・・

   

そんな私を

そのまま黙って見ていてくれた

あなたに気づく

 

そう

よかった

あなたがいてくれた

                 motomi

 

※ ひとつひとつの積み重ねが、見えない信頼を築きます。