日なたを探していたのに、いつの間にか日陰を探しながら歩く季節。私たちがどうであっても時は確実に移っていきます。

私たちにできること、一日一日、一瞬一瞬を大切に。「生きる」を実感しながら過ごせたらいいですね。

どうぞ、心豊かな一日でありますように。

 

 

「はんぶんこ」

 

  A

 

きのう 私は 

悔しかった

 

アボガドが

ゴリゴリだった

 

私の大好きな

アボガドが

 

うつむく

私の皿に

 

あなたが

手を伸ばした

 

そして

ぽいと口に放り込んだ

 

あなたが

苦笑いした

 

私も

首をすくめた

 

あなたは私の悔しさを

半分背負ってくれた

 

私は

口ずさむ小鳥になった

 

  *

 

よろこびも

かなしみも

 

はんぶんこで

生きられるみたい

 

  B

 

炎天に

花ひらく

 

別れあり

出会いあり

 

痛みあり

慰めあり

 

炎天に

花燃える

 

人の世に

その身を

 

惜しみなく

惜しみなく

 

  *

 

花は咲く

私たちの人生を

 

人は気づかないうちに

潤されているのです

 

道端に咲く

いちりんの花よ

 

私は

お前の名を知らず

 

お前は

名を知らせずに

 

私のいのちに

そっと咲いた

 

  C

 

植木屋さん

ブドウの坊やたちも

おめかしかしら

 

あの看板

あの子と

座ったあのテーブル

 

あのおばあさん大丈夫かしら

思わず

目で追ってしまう

 

ゆっくりと

のぼります

この坂を

 

いつしか

肩に

やさしきひとひら

               motomi

 

※ 離れていても、分け合うことはできます。