覚え書き | 一冊の詩集

一冊の詩集

人生終わるとき一冊の詩集が出来上がっていたら。
一日一日を大切に。

日に日に濃くなる緑、盛んに動き回る虫たち、見回せば、いのちの力強さに目を見張ります。

めぐる季節の中で、私たちはいつも誰かに励まされているような気がします。

どうぞ、心健やかな一日でありますように。

 

 

「覚え書き」

 

  A

 

目をあけると

わたしは

まぶたのなかにいた

 

わかりません だから描きません

なげだした絵筆は

画用紙に 黒いしみを散らした

 

だれに聞いても答えはないのです

いのちとは 

触れることのできないものだから

 

  *

 

はじめのうちは 

それでもよかったのです

けれどいつしか・・・・

 

そういうことが 

いくらでも

人生には起こりうるのです

 

うっすらと

感じていませんか

つづくはずがないと・・・・

 

  *

 

このまますべて

なくなってしまえ

そう言う前に

 

ちらちら 星が

遠くで呼んでいる

さあ この糸につかまって

 

それでも 先人のたちは 

こうして 大地を踏んできたのです

光をたよりに歩きませんか

 

  B

 

コンビニの前で

立ちながら

 

缶コーヒーを飲む

サラリーマン

 

あなたの朝は

どこにいますか?

 

ほら 鈴かけの葉が

さらさら揺れています

 

雲間から薄日が

さしています

 

つつがなく

つつがなく

 

朝という

希望は

 

だれにでも

訪れているのです

 

  C

 

すと――んと

陽がおちてゆく

 

きょうも 

おわったか・・・・

 

あなたはゆっくり

四畳半の電気を消す

 

  *

 

暮れなずむ街

カラスが寝床に帰っていくよ

 

宇宙は もっとも つましいものから

描きはじめる

 

みんなちがう

でも みんな いのちだよ

                    motomi

 

※ 心を澄ませば聴こえてきませんか。いつも語りかけているコトバに。