見回せばいつの間にか緑が辺りを埋めています。深呼吸したくなる季節。

人はやはり自然が恋しい。心はいつも何かを語りたがっているのかもしれません。

日常のなかで出会いながら、感じながら。

どうぞ、心豊かな一日でありますように。

 

 

「 街角 」

 

  a

 

あら

そこにいたの

 

おもわず

笑っちゃう

 

ちょっぴり

悲しくても

 

足を

とめて

 

まあ

あなたもおなじ

 

すっかり

笑顔

 

そうそう

そのちょうし

 

どこに

隠していたの

 

いろいろ

あるね

 

思いっきり

悩もう

 

そんな声が

聞こえてくる

 

街角の

小さなポスター・・・・

 

  b

 

花かごが

届いた

 

喜びはつつましく

すぐに消えてしまいそうで

 

花かごを

届けよう

 

喜びを

つたえに

 

ぬるんだ川べり

流れる光

 

白サギの輪郭が

ぼやけて浮かび

 

遠く菜の花が

土手に影をゆらす

 

街角で

むかし読んだ小説を思い出すとき

 

こころがふっと 

愛されている

 

結び文のように

コブシが枝いっぱいに花ひらく

 

大地の願いをこめて

喜びは空に向かう

 

静かに

いのりを香らせながら

 

  c

 

家々を

たどりながら

 

坂道に

見上げるバラの花

 

まだ

小さなブドウの坊や

 

保育園のヒヨコたち

公園に向かってさえずっている

 

爽やかな風

アジサイの青が清らかで

 

どの花にも

話しかけたくなる

 

ゆっくりと

吸い込む緑

 

床屋のクルクルに

声をかければ

 

笑いながらすれ違う

若い人たち

 

少しだけ

背筋が伸びたみたい

 

追い越す自転車を

ゆっくり見送る

 

とうさんが

おしえてくれたこの道の

 

いまも石段を

上っている

 

のどかな郵便局の佇まい

そんな風景がやさしくて

 

どれもこれも

物語は街角に

              motomi

 

※ 同じ道、でも毎日一番新しい道。