「真実のコトバ」

 

   Ⅰ

 

万物は

注がれている

 

万物は

包まれている

 

   *

 

牝鶏が 温めるように

雄鶏が 守るように

 

闇を過ぎ 夜明けを迎え

激動を越え 日常を営み

 

   *

 

休むことなく

途絶えることなく

 

万物は

生かされている

 

  ***

 

深く深く

地の底から

 

エネルギーは

噴き上げる

 

   *

 

低く低く

肩をよせ

 

涙は

流される

 

   *

 

この世で

創られなかったものは

 

なにひとつ

ない

 

  ***

 

それは

ほんとうか?

 

いや

だれの心にも

 

   *

 

真実の

コトバがある

 

ただ少し

むじゃきになればいい

 

   *

 

覚えて

いるか

 

おとうちゃん――

おかあちゃん――

 

   Ⅱ

 

なぜ

こんなことが起こるんだ

 

毎日

地球では叫び声がとどろく

 

   *

 

だれが悪いのか

どうしてこうなったのか

 

あの人がその人が

いや自分かもしれない

 

   *

 

みんなで

いても

 

地球は

さびしい

 

   *

 

笑って

いても

 

地球は

泣いている

 

  ***

 

人間は

忘れてしまった

 

初めの

コトバ

 

   *

 

人間は

捨ててしまった

 

初めの

真実

 

   *

 

手にしたものは

なんだっただろう

 

だれもが

ひとりぽっち

 

   *

 

それは

なんでもいい

 

石ころでも

メザシでも

 

  ***

 

初めのページに

一滴が垂れた

 

いのちの雫が

広がった

 

   *

 

生きよ

生きよ

 

いのちに

触れるな

 

   *

 

ただ

コトバが

 

すべてを

生きていた

 

   *

 

なにひとつ

答えはいらない

 

あなたは

真実そのものなのだから

 

   Ⅲ

 

なんにも

必要ないよ

 

そんな

気がする

 

生きているって

それほど

 

あっけらかんと

しているんだ

 

   *

 

悔しいよ

悲しいよ

 

途方に暮れて

死にたくなっちゃう

 

生きているって

それほど

 

とてつもない

出来事なんだ

 

   *

 

そうか

そうだったよね

 

うんうん

いいんじゃないか

 

それでも

気づいたら

 

つながって

いた

 

   *

 

不思議なんだ

生きているって

 

きみがぼくが

ここにいる

 

おんなじ

いのち

 

噛みしめながら

歩いてゆこう

 

            motomi

 

※ 飛び交う現実、大切なものはただ一つ。