ーたゆたえども沈まずー
ふとこの言葉を思い出した。
いい言葉だなと思う。
もとはパリの市庁舎に掲げられている標語で、不安定で揺れはするが我々は絶対に沈まない、そんな意味があるらしい。
いつだったかなんとなく流し見していたEテレの「すくすく子育て」で大日向雅美先生が悩み相談の回答に引用されていた。
その時の視聴者からの悩みも先生の回答の詳細も忘れてしまったが、この言葉だけはなぜか深く心に残ったのだ。
そんな言葉をなぜ急に思い出したのかー。
原因は夫で、今日は売られた喧嘩をわざわざ買ってしまった。
学習しないな、私も夫も
いつも通り次女と3人でお昼ご飯を食べていた。
私はちゃんと見ていなかったけど、テレビがついておりウクライナの惨劇を伝えていたようだ。
「何でやめないんだよ!1番の被害者は民間人。ウクライナとアメリカのリーダーは最悪だ。」
また始まった。。。と思った。
もうこの話題では夫と話さないと決めていたから聞き流す。
が、夫が今日はやけに私に意見を求めてくる。
「だってそうだろ?アメリカは本当に卑怯だよ。武力行使は悪だと言いながら、なんでアメリカのイラクやアフガンへの軍事侵攻は許すの?マスコミの論調もそうだし、あなたもそう。なんでなの?そこが知りたい。そもそも今回も先に国際協定を破ったのはアメリカなのに。」
すごい剣幕で捲し立ててくる。
夫が納得しないことは目に見えていたけど、思ったままを答える。
「もちろんその側面は否定しないけど、何をどうしたっては戦争を始めたプーチンの罪を正当化できない。何度も言うけど私たちは戦争は絶対に2度と起こしてはならないものと学んできた。現代社会において本当に戦争を始めた事が今だに信じられない。アメリカの軍事侵攻はまた背景が違うじゃない。テロとかあったし。」
火に油を注いだ。
マスコミに洗脳されていると言われ、アメリカ批判が日本批判、日本人批判にまで発展する。
すると私もだんだん腹が立ってきて
「そんなに日本が嫌ならなんでずっと日本にいるの?」とつい余計なことを口走ってしまった。
聞き逃さなかった夫が
「日本が嫌なら出て行けって?(←言ってない。なぜいるの?と聞いたのだ。)ああ、出ていくよ!中国に帰る!」
と捨てゼリフを吐いてお昼寝しに寝室に消えた。
はぁ〜
疲れる。。。
寝室に追いかけて冷静に言い返した。
「今の私たちの関係はとても危ういでしょ?あなただって感じているから、あなたはあなたなりに、私は私なりに歩み寄り、なんとかバランスを保ちながら日々を送っているのに。なぜわざわざぐちゃぐちゃに壊しにかかるの?今日だってあなたが執拗に聞いてくるから答えただけでしょ?」
「もういい話したくない。」
と話は切り上げられた。
子供かと言いたくなる。
ここ最近なんとか平穏に日々が送れていて、夫への気持ちも穏やかに持ち直していたのに、また大きく崩れた感じ。
疲れる
疲れるけど、以前のように落ち込まなくなった。1時間ほどしたら心底どうでもよくなっていた。
お昼寝から起きた夫が書斎(仕事)に戻る気配がしたので、あったかいココアを作って持って行った。
「イライラには甘いココアでもどうぞ」と言って。
夫が険しい顔のまま「ああ、ありがとう。」と言ったけど、なかなか手をつけない。
「いますぐ飲める温度だよ。」と言いながら一口くちをつけるまで動かないぞと思い側で立っていた。
やはり飲まない。
「(猫舌の夫のために)50度のすぐ飲める温度にしたのに。すぐ飲まないならもう少し熱くしてくる。」
と持ち帰ろうとしたら
「ああ、飲む飲む、今すぐ飲む」とカップを取り上げてごくごく飲んだ。「うん、美味しい。ありがとう」
初めから素直に飲めばいいのに
「イライラ、おさまった?甘いもの足りてなかったんだよ。」
と言うと、フンと鼻を鳴らされた。
なんだよと思う。
思うけど、それすらもどうでも良くなってくる。
私たちの夫婦関係。
崩れては立て直し、破れては縫い合わせて、寄り添って、時には波にのまれそうになりながら、揺られて揺られて、、、たゆたう先に何があるんだろう。
そんなことをぼーっと考えた。
とりあえず、沈まないように。
沈みさえしなければなんとかなる、、、かな?
そう言えば題名に惹かれて買うだけ買って読んでいなかったこの小説。
今日から読んでみよう。今夜は次女が19時に寝てしまって、ゆっくり時間がある