監督とコーチは
ホイッスルが鳴った後、無防備になったQBに背後から襲いかかる
そんなプレーの指示はしていない。
改善されるべきは、あの反則プレーにいたった指導法と、不足していたコミュニケーションだ。


マスコミや世論の大きな声と違って、わたしが上のような解釈をしているのは、この映像を観ていただくことで少し説明できるかもしれない。



「でもね、内藤、ガッツがない」
エディは、そのガッツを日本語に置き換えて、こうも言った。
「内藤、ガマンできない子ね。打ちなさい、もう相手は倒れるから打ちなさい、でも、打つことガマンできない。内藤はやさしい子、あんなにやさしい子いない、でも、ガマンできない・・・」
これは本からの引用。
大好きなライターの好きな本からの引用。

だけど、映像から「できない子」にみえるだろうか?
もっと別の試合の映像があれば良かったんやけど。
これは内藤は2ラウンドから覚えてないそうで、やっぱり意識を一分でも残して闘志がなくてはならないことを自分でも認めている試合だ。
ガッツ、闘志がない。とは、とても近くで見ていなくては窺い知れない。ということが伝わってほしい。

競技はボクシングではない。
コーチはエディさんではない。
DLくんは内藤ではない。
そして競技におけるレベルは、目標を世界に置いているか学生日本一に置いているかでも違う。

だけど、フットボールの学生日本一は他のスポーツよりも微妙に違う位置付けにある。
日本でメジャーな野球やサッカーとは違う。
高校での戦績から社会人やプロへの道が開かれていない。
だからといって、部活レベルまでも引き下がらない。
カレッジフットボール界で甲子園ボウル優勝が射程圏にある学校は、とても限られていて凌ぎを削っている。
そんな競い合いの中で、技術や体力やオールジャパン級、の上が求められ、コーチはそこを伸ばしたかった。
だけど親子ほど歳の差のあるエディさんが「殺すつもりで」と言っても指導できなかったものを、兄弟ほどの歳の差で「潰してこい」と言ってもできなかっただけではなく乖離を生んでしまった。
監督はエディさんほどにハートで指導できなかった。

そういうことだと思う。

次回からの原因究明や、このたびの異議申し立ての理解には、一番になりたいことへの温度差が同じでないと難しいのではないかと思う。

第4 原因の究明

本件はなぜ起こってしまったのか、A選手をそこまで追い込んだものは何だったのか。

限られた時間内の限られた調査ですべてを解明・究明することはできないが、規律委員会は、
次のような点を指摘できるのではないかと考える。

無理に考えなくてよかったのではないか、
調査結果を出すだけでよかったのではないか、
と、ずっと思っている。