監督とコーチは
ホイッスルが鳴った後、無防備になったQBに背後から襲いかかる
そんなプレーの指示はしていない。
改善されるべきは、あの反則プレーにいたった指導法と、不足していたコミュニケーションだ。


今回は記者とのやり取りの部分。
但し書きをつけたからといって、人の発言を要約とかまとめることは「恣意的」だと受け取られる覚悟のようなものが必要だと思う。
関東学連は、それをやった。
重箱の隅をつつくようで、わたしも気持ちの良いものではないけれど、つつく。
音源データにはあるのかもしれないけど、それも編集されているか言葉を見つけられないものもあったので、いっそ文春の本文に依っている。


(10) 試合後の記者とのやり取り

試合後、B監督はスポーツ紙等の記者数名から囲み取材を受けた。そこでの発言
力がないから、厳しくプレシャーをかけている。待ちでなく、攻めて戦わないと。
選手も必死。あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任。

というものであったと報道されている(5 月 7 日付け「日刊スポーツ」)。しかし、おそらくこれは、B監督の発言を要約したものであった。
この箇所は、2018 年 5 月 24 日発売の「週刊文春」(5 月 31 日号)が世に出る前に原稿を書いていたため、「おそらく…要約したものであった」という書きぶりになっているが、このときの取材音源を文字起こしした「文春」の記事により、現在では「おそらく」ではないことが判明している。実際はもっと踏み込んだ発言をしていたと複数の者が認めている。例えば、記者からの「ちょっとやり過
ぎだったのではないか。選手が履き違えてしまったのか?」という趣旨の質問に対して、
履き違えたというより、この部分は文春の記事から見つけられない表現。
(前なら、反則取られる前に交代になるのかなと思いましたけど。の答え→)僕が相当プレッシャーをかけてるから
(宮川に対して?の答え→)そういう方向に持って行っている。それが反則であるというのなら、それは僕の責任。僕のやり方。
「こんなこと言っちゃわるいんだけど」という前置きのセリフが抜けている→Aは良くやったと思う。もっとイジメますけどね。
これは別の質問の答え→『反則をしちゃダメよ。』と言うのは簡単なこと。
(そうではなく)もっとやってみなって、そう思いますよ。←記事にはない。

などと回答していた。ただし、これは会話の中の複数の発言を繋げて要約したものである。

記事のうち、監督の発言のある部分は↓
これ、載せたらますます監督の印象は悪いかもしれない。
取材に答えてる時点では、両校監督を含めてほとんどの人が「悪質タックル」を見てはいなかった状態での答えを、映像が出回ってから発行された記事だと読んでいただきたい。





取材での発言の意図翻訳。

この質問は、「あの反則タックル」のことではなく、

一人の選手が3度もつづけてパーソナルファウルを犯し、

退場処分になった、という異常事態について語られている、

という前提をご理解ください。


試合直後の段階では、あの反則タックルを動画で確認している人は、

記者、関学側含め、いないという状況なのです。

 

 

「やっぱり下からやる意識で行かないと」

「うちの場合はもう勝ち抜けないですよ」

 

これは日大は去年のチャンピオンなので、

「挑戦者のつもりでやる」という意味ですね。

ディフェンディングチャンピオンだからといって、そこに胡座をかくのではなく、

チーム力が低いという認識でがんばらないと勝てない、

ということを言っています。

 

「だから相当、厳しいこともやるし、

 僕、相当プレッシャーかけてるから、宮川でも、全部ディフェンスでも」

 

この部分は、上記のような厳しいチーム環境の中で

秋には勝ち抜くことができるようになるために、

非常に厳しい練習を課しているということですね。

それと、精神の鍛錬のために、選手を「意図的」にいじめ、

プレッシャーをかけている、ということを言っています。

宮川くんに対しても、プレッシャーをかけているし、

彼だけでなくディフェンス全体に対しても、そうしている、ということ。

 

これは、試合前の数日の間に起きた彼の扱いについて、

彼を鍛えるために、意図的にやっている、という発言ですね。

 

「まぁ、そういう風に僕が持って行ってるから、そういう方向に。」

 

これはチームが選手に厳しい精神レベルを要求する、ということを言っています。

去年、内田監督が就任して、チームの雰囲気がガラリと変わった、

ということが言われていますが、それは、彼がチームに

王者になるために相応しい厳しさを求めているということです。

(決して、反則をせよ、という意味ではありません)

 

「それが反則であるっていうのであれば僕の責任だし

 そういうふうに持って行ってるから。」

 

この発言は、実は監督が「あの反則タックル」を把握していないという

決定的な証拠なのです。

なぜなら、あのプレーが反則にならないなどと解釈するはずはないからです。

 

ここからわかるのは、内田監督はあの反則タックルを本当に見ておらず、

「ギリギリのタイミングのレイトヒット」程度だろうと思っていた、

ということです。

 

反則を恐れず、躊躇なくタックルに行け、という指示が、

微妙なレイトヒットになってしまうことがあるなら、

それは僕の責任だし、そういう風に「迷わず行け」と指導しているのだ、

ということです。

 

この発言は同時に、3度のパーソナルファウルをとられた

宮川くんを守る発言でもあるのです。

 

「そうじゃないとキツイです。」

 

それくらい突き詰めないと、勝負に勝つことはできない、

勝てる人材は作れないという意味です。

 

「それは、悪いんだけども僕のやり方」

 

これは、反則タックルをやれ、という意味ではなく、

谷底に選手を突き落として這い上がらせる、という「指導方針」のことです。

 

「だから僕はこんなこと言っちゃ悪いんだけど、

 宮川はよくやったと思いますよ

 

これは反則行為を実行したことを褒めているのではありません。

今回の試合に向けて、監督がわざと谷底に落としたのだけれど、

そこから自分で這い上がってきて、自ら直訴して試合に出たりして、

反則もしてしまったけれど、一皮向けるためによくやった、という意味です。

 

「そういうんじゃなかったら、関学みたいなチームには勝てないでしょ」

 

関学に勝つチームになるには、選手一人一人が意識変革して、

自分に厳しい人間に生まれ変わらないといけない、

という意味で語っています。

 

「いいですよ、内田がやれっていったって書いても。」

 

あの悪質タックルをイメージして言っているのではなく、

ギリギリのレイトヒットを恐れずにいけ、と内田が言っている、

ということです。

 

ここでは割愛されている発言も、すべて、

あのタックルが頭にあって発言しているのではない、とわかれば、

すべてが別の(しかも普通の)解釈ができるのです。

 

あなたの先入観が、ハッと解けることを祈っております。