川合大祐さんの『リバー・ワールド』は分厚さがポイントだと思っていて、意味ではなくて、分厚さや量そのものが思想的になるということがある。川柳はたぶん過剰さというものをテーマに抱えているが(隠喩の過剰、意味の過剰、文法の過剰)、川合さんはそれをソフト面だけでなく、ハード面でも示した

あともう一つのポイントはこの分厚さは文法書や辞書と類似するということで「オパールと言うのか辞書を破り捨て」という句があるが川合さんは川柳を通して語法、意味論などの辞書を1から作り直そうとしている。川柳の過剰さは言語組織をつくりなおそうとさえする。「横綱を言葉で言うと桜桃忌」

わたしはなにか川柳のひみつがあるようなきがして「干からびた君が好きだよ連れて行く/竹井紫乙」という句をよく思い出すけれど、これもあなたという過剰に向き合っている。あなたが干からびるという過剰。でもその過剰さを好きになるわたし。わたしは引き受ける。過剰なわたしがあなたとむかう場所。